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プレゼンテーションのバリ

 素人の話し手である我々は、無理やり「あー、えー」のバリ言葉を封印する必要はない

 昨日、吉田雅紀氏(あきない総合研究所代表)の、「プレゼンテーション」という演題の講演を聴いた。プレゼンテーションの目的は、他人の行動を変えることである。以前講習を受けた「メンタルコーチング」とともに、プレゼンテーションの技法をマスターすればビジネスのあらゆる場面で強力な武器となりうる。

 その講演の中で、「言葉のバリとり」というテーマがあった。他人のプレゼンを聞く方からすると、「えー」とか「あのー」など言葉のバリ(=言葉癖)は、気になるものである。昨日の講演時に行ったワークショップでも、たいていの人は数秒と経たずバリ言葉を発していた。このバリ言葉の典型は、「あーうー総理」と言われた大平正芳氏である。

 アナウンサーや落語家など、プロの話し手はほとんどバリ言葉を使うことがない。政治家では、前大阪市長の橋下徹氏がみごとである。バリを使わないことで、話が滑らかになり雄弁に聞こえる。聞き手はその話しぶりに聞きほれてしまい、つい説得されることが多い。下手糞な手書き文字より活字の方が、何となく信用できるのと同じである。

     無題

 しかし、じつは「あーうー」の大平正芳氏こそ、政治家の中でほんものの教養人であったと言われている。大平氏の演説から「あーうー」を抜いて筆記すると、そのまま筋の通った論文となる。大平氏は、バリ言葉でリズムを取ることで理論を組み立て、ストーリーを作り上げていたのではないか。
 落語家でも、本物の天才と言われた古今亭志ん朝は、「えー、おー」を頻繁に使っていた。

 そして現実の社会では、雄弁な人ほど薄っぺらい人が多い。あまりに言葉巧みな人は、詐欺師と疑ったほうがいい。詐欺師でなくとも言葉滑らかな人は、考えよりもつい言葉が先走ってしまう。一度言ったことは取り返すことが難しいから、弁の立つ人は言葉と行動が伴わず、周囲からは薄っぺらく思われる。


 したがって言葉の素人である我々は、無理やりバリ言葉を封印する必要はないと思う。気にしすぎると、プレゼンそのものができなくなる。若い人はともかく、余命短い人が、こんなことのために、余計な気配りや時間を費やすことはない。すべては、ほどほどがいいのである。
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