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原発の発電コスト

 支払ったお金が、国内で富と雇用を生むのか、海外で地獄をつくるのかで大きな違い

 総合資源エネルギー調査会「長期エネルギー需給見通し小委員会に対する 発電コスト等の検証に関する報告(案)27年4月」による、個別電源ごとの1kw/hあたり発電コストを以下に示す。
 原子力10円、石炭火力12.5円、LNG火力14円、石油火力35円、バイオマス30円、風力22円、太陽光24円、一般水力10円、小水力25円である。
 これにはCO2温暖化対策費が石炭火力3円、LNG火力1.3円、石油火力2.5円含まれている。また事故リスト対応費や政策経費が、原子力には1.6円、風力6.3円、太陽光3.3円、小水力3円が含まれている。

 これに対し(最近TV出演される)大島堅一立命館大学教授は、2010年までの実際の発電コストを示し、事故コストや賠償コストを入れると、原発は12.0円(東電は16円)になったという。ちなみに火力発電コストは、9.87円、水力発電コストは3.86円だそうである。今回福島の廃炉費用で試算された20兆円余を入れると、原発コストはもっと跳ね上がる。
 大島堅教授の計算だと、原発コストはとんでもなく高いことになる。ほんとにそうか。

              西の丸出口付近より天守閣 H28.8.31

 じつは、コスト計算ほどいい加減なものはない。根拠などあってないようなものである。
 建設コストは、設備の運転期間や稼働率などで極端に異なるし、燃料費も資源国の事情や力関係で変わってしまう。資源採取段階で失われているたくさんの命は、資源国だからと言って安く見積もれるはずがない。原発の廃炉費用など誰にもわからないし、温暖化による気象変動対策の費用こそ出しようがない。洪水や干ばつ被害など考えたら、お手上げである。

 また原発が停止し化石燃料に依存せざるを得ない日本は、足元を見た資源国からバカ高い燃料を買わされている。割り増し分だけで、毎年、5~10兆円になるときもある。
 さらにWHOでは、化石燃料による大気汚染で、毎年3~400万人が亡くなっていると報告している。これを含めると、石炭火力発電コストなど、今の10倍でも少ない。
 だから、原発反対者は原発コストを思い切り高く見積もり、推進者は低く見積もる。

                金の成る木

 では、どう考えたらいいのか。
 そもそもコストはすべて人件費である。ということは、その費用がいったい誰の懐に入って、どのように使われるのかをみなければならない。

 ざっくりみると、原発コストの大部分は、建設の償却費と維持費、それに政策費や事故コストである。海外からの燃料費は10~20%に過ぎない(もんじゅが稼働すれば限りなく低くなる)。つまり、コストの大部分は国内の誰かが受け取り、そのぶん経済規模が拡大する。原発コストは膨らめば膨らむほど、国内に富や仕事、雇用が生まれるのである

 それに対し、火力発電のコストは60~80%が燃料代である。そのお金はいったいどこにいくのか。ほとんどがアラブの産油国を富ませている。つまり日本で火力発電の比率が高まるほど、中東が太る。武器購入の資金源が増え、シリアなどで悲惨な内戦を拡大させる。中国、ロシア、北朝鮮など、我が国周辺にある武器輸出国が潤い、日本の安全は一段と脅かされる。
 太陽光発電の主たるコストである太陽光パネルを、つくっているのはどこの国か。その輸入先こそ最も怪しいところである。


 すなわち、われわれが電気料金として支払っているお金が、国内の富と雇用を生んでいるのか、海外で地獄の紛争を拡大させたうえ自らの首を締めているのか、よく考えるべきである。
 コストを論ずるとき重要なのは、そのお金がどこに流れたかであって、見かけのコストだけを見てはいけない。この「鳥の目」からの視点が、発電コストの比較ではすっぽりと抜け落ちている。だから、ピントはずれの教授が現れるのである。
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