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農業問題(4月4日)

 日本の「食」と「農」を守るためには、農家260万人の大リストラが必要である 


 「自由人」岩佐十良氏の「米作農業入門」を読んだ。私はこれまで、あらゆる立場の農業関係官僚や大学教授、評論家の小難しい著作を数十冊読んだが、いま一つ納得できなかった。岩佐氏は、彼らとはまた違った立場で農業を論じている。著書の中で氏は、5年ほど「もぐり」で米作を行った後、農業生産法人を立ち上げ、山間部の棚田で悪戦苦闘した経験を綴っている。出版者として或いは農作物販売業者として、農家でない第3者でありながら、当事者として農業に深入りすることもなく、それでいて農家の立場もよく理解していると思う。


 氏は、現在の農業政策の問題点や将来方策について、つぎのように述べている。
①新規農業参入の一番の障壁は、農地の確保である。これは、転用期待、複雑な補助金制度、基盤整備拠出金分担など村落の利害、心理的抵抗など既得権益を持つ農家が、農地を貸すことに大きな抵抗をしているからである。
②農業は、後継者不足で衰退するのではない。むしろ農業従事者は、ほんの一握りでいい。それでなければ、生産性は上がらない。それを阻んでいるのが、①である。
③TPP交渉参加は、避けられない。それに、どう対応すべきかである。
④従来の「基盤整備事業」は、誰かがぼろ儲けしている「ムダの権化」であった。建設業者が農業参加して自ら基盤整備を行えば、その部分は大幅に合理化できる。

 
 ここから、『日本には、就業人口の5%、260万人もの農業従事者はいらない』という結論が導かれる。じつは農業先進国といわれる国は、農業者は就業人口の1%以下しかいない。それだけ生産性が高いということである。したがって、これからの日本の米作農業政策は、260万人をどのように減らしていくかということに尽きるのではないか。日本の「農業」は守らなければならないが、「農家」を守る必要は全くないのである。「米作農業入門」を読むと、農業を衰退させているのは、260万人もの農家自身だという気がしてきた。企業で言えば、「少人化」を進め「窓際族」をなくすことである。
 そのためには、あぶれた人たちの食い扶持が必要で、TPP交渉参加はいいきっかけになるであろう。TPP参加は、地方区出身者の多い自民党としては、身を切って国益を考えた、いい決断であったと思う。

 
 ただ、一つだけ岩佐氏と私の考えと大きく違うところがある。東北農産物の原発事故風評被害である。岩佐氏は、風評ではなく本物の汚染だという。そして、放射能汚染された福島の農民を離農させるため、福島の農産物を消費することはやめようと呼び掛けている。
 この論説は間違いだ。放射能が人体に与える影響について、まったく誤解している。そして、氏のこの発言が、放射線の悪影響に怯えている人たちにさらに不安とストレスを与える、ということに思いをはせていない。本当は「安全」なはずの低線量放射線が、「安心」でなくなってしまうのである。岩佐氏のように、日本の「食」について発信する立場にある人は、真実を正確に把握し、本当のことだけを記述していただきたい。
 それにしても、いつになったら日本国民が、放射能の呪縛から逃れられるのであろうか。
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