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大川小学校訴訟

 避難したために人が亡くなったとしたら、だれが責任を取るのか

 津波で亡くなった大川小学校の児童遺族が損害賠償を求めた訴訟では、遺族側が勝訴した。それに対し市や県は、控訴方針を決めたところ、遺族側は控訴断念を呼び掛けている。世論も遺族側に同情的である。

 小さい子供たちが亡くなってしまったのは、まことに無念である。まして亡くなった子供たちの親が、その悲しみを誰かにぶつけたいのはわかる。原因は大津波という大自然だから、そんなものに八つ当たりするわけにはいかない。勢い矛先は、当たりやすいところ、保護責任のある教師すなわち学校に向かう。
 たしかに、教員の避難判断の誤り、「裏山へ避難すべきだった」は正しかった。「裏山」にさえ登っていれば、ほとんどの児童は助かっていたはずである。

        タカス荘近隣海岸 H28.9.17

 しかし、そんなものは後知恵にしか過ぎない。あの時点で、ほんとに津波が来ると思っていた人はどれだけいたのであろうか。ほとんどの人は半信半疑で、まさかあれだけの大津波が来ると思っていなかった。だから2万人以上が、海にさらわれてしまったのである。あのとき冷静な判断ができなかったことを責めるのは、あまりにも酷である。

 それにもし、大勢が裏山に登ったのに、大津波が来なかったとしたらどうか。地震による山崩れや転落などで、児童数名が亡くなっていたかもしれない。それこそ確実に、教師側は責任を取らされる。


 一方、当時の福島第一原発の事故では、現場から5キロにある双葉病院の介護老人施設で、政府の緊急避難時指示のもと180人の入院患者が避難した。その結果、避難の身体負担に耐えられず、50人もの人たちが亡くなってしまった。このほかの施設でも、避難した老人が多数無くなっている。
 逆に、津波に襲われた宮城・岩沼の赤井江マリンホームでは、寝たきり老人は全員無事だった。まともに「避難」しなかったからである。

 つまり双葉病院の場合は、避難したために、大勢の人たちが亡くなってしまったのである。人数も大川小学校のときよりはるかに多い。それでもなぜか病院の責任を問う人は少ない。そしてこの場合、責任は避難した病院でなく東電側に押し付けている。

 したがって大川小学校の場合、学校側にすべての責任を押し付けるというのは矛盾している。人が抵抗できない自然災害での死亡事故に対し、たまたま居合わせた者に罪を押し付ける判決には、大きな疑問がある。
            タカス荘近辺海岸 H28.9.17

 それでも子供だから、高齢者より命の重みは大きい。年寄りだから粗末に扱ってもいい、という考えならまだわかる。判決に対し大きな反発が起こらないのは、口に出さずともみなそのように思っているからではないか。
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