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ISO14001;2015の取り組み② ライフサイクル志向

 中国は世界の工場として環境負荷を一身に背負い、大気汚染や水質汚濁で苦しんでいる

 2015年版のISO14001(環境マネジメントシステム国際規格)では、組織の環境影響を、その製品・サービスのライフサイクル全体でみることを要求されている。

 その解説書である「ISO14001:2015要求事項の解説」(日本規格協会)には、以下のようなことが記してあった。
 イギリスのエネルギー及び気候変動員会が発行した、「消費ベースの排出量報告(2012年)」によると、2008年のイギリスにおける温室効果ガス排出量は1990年に比べて19%削減されている。イギリスだけでなく、ヨーロッパ先進国において温室効果ガス排出量は軒並み減少している。いろんな測り方はあるが、日本もその「先進国」のひとつである。

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 自然エネルギーへの転換が進んできたからであろうか。
 いやそうではない。このとき、イギリスが消費した物品に伴う排出量は、逆に20%も増えていたのである。
 これは「先進国」の生産拠点が、途上国に移転しているからである。そうなると当然、国内の生産活動に伴うCO2ガスの排出量は減る。その一方、「先進国」内で消費する物品の海外生産比率が増える。そのため、国外でのCO2ガスの排出量は増える。
 すなわち、温室効果ガス排出は、ほんとに低減されたのでない。単に国境を越えて移動しているだけである。世界全体では、むしろ増加している。

 現在中国が、世界の工場として環境負荷を一身に背負い、大気汚染や水質汚濁で苦しんでいるのはそのためである。貿易量が増えると、世界全体でみた温室効果ガスの排出量もどんどん増える。
 たとえば、日本が太陽光発電を大量導入し環境改善したつもりになっていても、資源採掘やパネル製造段階での中国の環境破壊は想像を絶する。もちろんその製品廃棄についても、20年後には大問題になる。また、脱原発を進めているドイツでは、再生エネ発電バックアップのため、大気汚染の元凶である石炭火力発電所を増設している。さらにそれでも不足するドイツの電力を賄おうとして、周辺のチェコやポーランドでは原発が新設される。アホみたいな話である。

 このことは、企業活動にも言える。環境負荷を減らそうと思ったら、多くのエネルギーを使ったり有害物質を排出する作業工程を、外部に委託すればいい。その企業の環境保全状態は簡単に改善する。しかしこれはほんとの改善ではない。単に環境負荷を外部に移転し、見えなくしただけである。

 すなわち地球全体の環境を考える場合、その製品のライフサイクル全体を見た考え方をしなければ、まったく意味がないのである。
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