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水の未来

 災害対策では、ある程度の被害発生を見込むのが、現実的に最良である

 以前に、沖大幹氏(東大教授)の著書「水危機本当の話」で興味を持ったので、氏の最新著書である「水の未来」を読んだ。まだ我々は、水についてよく知らない。

 この本で興味をひかれたのは、つぎのところである。

①水が足りないとは
 水が足りないというのは、貧困や無政府状態からであって、ほんとに飲み水が足りないというのは、非常時を除いていちばん最後である。そもそも、飲み水がないところには人は住まない。

②水の国際価格はない
 水は安いので、貯めたり運ぶには不経済なローカル資源である。そのため、地域ごとに偏在している水そのものを融通し合うのは現実的ではない

③水は安い
 大まかに水道水は100円/トン、農業用水は5円/トンである。タンカーやパイプラインでの運送費も、およそ100円/トンぐらいである。したがって、いくら安くとも運搬手段で水道水を運ぶと価格が2倍になり、農業用水を運ぶと20倍に跳ね上がる。
 ちなみに、海水淡水化による水の価格も、水道水とほぼ同じである。ダム建設による貯水コストは農業用水とほぼ同じ、5円/トンぐらいである。

④ウォーターフットプリントの標準化
 ライフサイクルアセスメントに基づいて、ISO14046として発行された。ここでは、水の使用量だけでなく、質の変化も対象とすることができる。

       雪の徳山ダム水面 H26.12.02

⑤仮想水貿易が紛争をなくす
 昔から、水源地を巡る争いは絶えなかった。水を運んで作物をつくるより、水が豊富な地域でできた作物を運ぶ方が合理的であり、貿易が進むと水のための紛争が無くなる。

⑥日本の仮想水の輸入
 日本は、仮想水として国内で使う以上の水を、食料という形で輸入している。しかしそれは、ほとんど先進国で水が豊かな地域である。貧しい国からカネにあかせて買いあさっているわけではない。アメリカのように、化石地下水を使うところでも、輸入量の10%以下である。

⑦現代の飢饉は水や穀物不足ではない
 21世紀になって餓死者が出るような国は、干ばつなど食料生産ができないとき、外から食料を買えない貧しい国である。しかもそういう国では、援助食糧の分配もできない。

⑧環境負荷の錯誤
 牛は、トウモロコシの芯や大豆の搾りかす牧草など、人間が食べられないものを栄養価の高い肉に代えてくれる。また、ベジタリアンの方が食料生産に広い面積を取ることもあり、必ずしも環境にやさしいわけではない。


 そのほか、この本では地球温暖化に関する記述が半分以上あった。
 そこでは、温暖化対策のベストミックスは、①温暖化緩和策(CO2排出削減)、②適応策(堤防をつくるなど)、③被害を受け入れる、の3つの合計が最小になることだといっている。つまり、ある程度の被害発生を見込むのが現実的には最良の策である。

 リスクをゼロに近づければ近づけるほど、それ以外のリスクが増大し、かえって命が縮むことになるからである。これは、すべての災害対策、原発対策にも言える。
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