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何でもできる②

 何でもできる設備と同じように、万能人間は何もできないうちに終焉を迎える

 何でもできる装置について、こんどは使う方の立場から考えてみよう。
 典型的なのはスマホである。いまだかって、これほどの万能装置はなかった。通話、メール、ネット受信、撮影、そこから派生したありとあらゆる案内サービスなど。あの小さい体に、無数の機能を盛り込んでいる。

 その、何でもできるスマホに人気があるのは、単独機能での稼働率がものすごく低いからである。よく使う通信機能にしても、人によっては1日1回も使わない。何時間も使っている人は、どうせろくな使い方はしていない。写真撮影しかりである。工場設備のように、稼働率が問題になるわけでないし、可動率すなわち必要なとき使えることも問題になっていない。

 つまりスマホの原型である携帯電話にしても、ほとんど99%の時間は持っているだけである。言い換えればムダに保有していた。その余った時間に、あらゆる機能を詰め込めばいい。従って、使う人にとって機能が増えるほど便利になり、総合的にはコストダウンになる。しかも小さいから、どこにいても使える。
 まだまた機能は増えていくであろう。

               眠り羊

 一方、効率を優先するビジネスの場ではどうか。 
 たとえば名刺である。
 海外と取引がある人は、名刺の表に日本語、裏に英語で自分の名前を印刷している人がいる。1枚で2つの用途に使えるため、一見合理的なやり方のように見える。

 しかし当たり前だが、名刺を渡す相手は一人である。この場合、相手が日本人なら英語の表記はムダで、相手が英語圏の人なら日本語の表記はいらない。もちろん、裏表のある名刺のほうが値段が高い。1.5倍~2倍はする。そのコストアップの分をムダに使っている。したがって、日本語の名刺と英語の名刺を別々に持っていた方が合理的である。
 
 工場の生産設備はどうか。多品種少量生産工場では、多機能で何でもできる設備を求めることが多い。これが必ずしも最善とは限らない。

 普通の工場では、稼働率(実際に動いている割合)や可動率(必要なとき動ける割合)を重視する。その場合、何でもできる設備というのは問題がある。その多機能設備で、ある一つの加工をしているときには、他の機能を働かすことができないからである。しかもそんな設備は、一つの仕事しかできない設備の何倍もの値段がする。
 その場合、価格の安い一つしかできない設備のほうが有利かもしれない。

 万能人間はもっと問題である。何でもできる人間は、そのインプットに多大な時間を要している。人生は短い。たいてい何もできないうちに、耄碌し終焉を迎えるのが落ちである。
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