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経営戦略とマネジメント(長文)

 大事なのは、自分の信じるものを持ち、それを確実に実践することである

 経営戦略やマネジメントに関する著作は、山ほど発行されている。その主なものを取り上げてみよう。

(1)マイケルポーター
 「競争の戦略」に代表されるボジショニング学派である。市場で独自の位置を築いて競争力を高めることを目指す。その競争要因5つの力を、適切なボジショニングの指針にする。
①新規参入の脅威
②業界内の競争関係
③代替製品からの圧力
④買い手の競争力(供給過剰)
⑤売り手の競争力(仕入れ先が少ない)

 競争相手に打ち勝つ3つの基本戦略
①コスト面での優位性
②差別化(製品機能やイメージ)
③特定市場への集中
 (注)このことを日本経営品質賞ガイドラインでは、つぎのように言っている
  ①どこよりも安い価格で提供できる(やすい、はやい、うまい)
  ②他ではできない独自性を持っている 
  ③どこにも負けないお客様との信頼関係を築いている

(2)ゲイリーハメル
 「コア・コンピタンス経営」では、顧客に価値をもたらす他社にはできない企業の中核力(コア・コンピタンス)を活かすことを強調している。
 その戦略の見方を変える5つのポイント。
①未来の市場機会を発見する先見性を築く
②製品で業界を支配するより、コア・コンピタンスで支配する競争へシフトする
③未来市場の制覇に向けて必要なコア・コンピタンスを磨く道筋を示す
④多少困難な目標を掲げて社員のやる気を引き出す
⑤有限な経営資源から相乗効果を生み出し、経営資源の制約を打破する
 コア・コンピタンスは、3つの条件を満たす必要がある
①常に顧客の利益に直結する
②他社に模倣されないようなユニークな能力
③活用するほど磨かれ価値が高まる

(3)クレイトン・クレステンセン
 「イノベーションのジレンマ」は文字通り、イノベーションは必要だが、自らの組織を衰退させる働きもするということ。たとえば、自らが開発したデジカメのために衰退したフィルムメーカーコダックのように。
 「偉大な企業は正しく行動するがゆえに、やがて市場のリーダーシップを奪われてしまう」
 したがって、新技術の開発では、別の組織を作って追及する必要がある。

(4)ピータードラッカー
 「マネジメント」は、経営の教科書ともいうべき基本指針を述べている。
 企業の目的は「顧客の創造」であり、そのために「マーケティング」と「イノベーション」が必要である。
 事業を定義するためには、
 ①顧客は誰か ②どこにいるのか ③何を買うのか ④彼らにとっての価値は何か

(5)トム・ピーターズ
 「エクセレントカンパニー」は、超優良企業にはつぎのような共通項があるとしている。
 ①行動の重視、②顧客に密着する、③自主性と企業家精神、④人を通しての企業家精神、⑤価値観も基づく実践、⑥基軸事業から離れない、⑦単純な組織と小さな本社、⑧厳しさと緩やかさの両面を同じに持つ

(6)ジェームス・コリンズ
 「ビジョナリー・カンパニー」では、18社の「ビジョナリー・カンパニー」について、それぞれ比較対象となる企業を選んで違いを炙り出している。
 組織のしくみとして
①不断の改善 ②たくさん試してうまくいったものを残す ③社運を賭けた大胆な目標
 米国の建国者たちが力を注いだのは、「誰を大統領にするか」ではなく、「優れた大統領を継続して生み出すために、どのような仕組みが必要なのか」ということであった。

(7)ピーター・センゲ
 「最強組織の法則」では、組織は大戦略家に従うのでなく、あらゆるレベルのスタッフの意欲と学習能力を活かさなければならないと述べている。つまり学習する組織であるべきで、そのために必要なのは次の事項である。
①全体の相互作用を理解するシステム志向
②個々人が習熟度を上げるための「自己マスタリー」
③環境に応じて考え方を変える「メンタルモデルの克服」
④そうしたいと思う「共有ビジョンの構築」
⑤素晴らしい成果を生む「チーム学習」
 時代を超えて事業を継続している企業は、たくさん試してうまくいったものを残す

(8)ジャック・ウェルチ
 危機管理の前提としてつぎの5つを挙げている。
①問題は見かけよりもひどい
②この世に秘密にしておけることはなく、やがてすべて白日の下にさらされる
③あなたやあなたの組織が危機に対処する姿は、最悪の姿で報道される
④血を見ることなく収拾できる危機はない
⑤組織は生き残り、危機的事件のおかげでさらに強くなる
 これを前提として危機を乗り越える必要がある。

(9)フレデリック・ランチェスター
 小さい企業はマーケティング戦略において、一つの特殊な分野に特化する。そこまで手を回す余裕のない大企業の隙間を突く。弱者の戦略は差別化戦略で、敵より性能のよい武器を持ち、狭い戦場で一対一による接近戦を行い、力を一点に集中させる。

(10)リッチ・カールガ―ド
 「グレートカンパニー」では、長期にわたって会社が成功するための3つの基本を挙げ、それぞれを成り立たせる事項を示している。
①戦略的基盤
 市場、顧客、競合他社、競争優位性(間接的な競合)、変革者(参入者)
②ハードエッジ
 スピード、コスト、サプライチェーン、流通、資本効率
③ソフトエッジ
 信頼、知性、チーム、テイスト(感性、味わい)、ストーリー
 カールガードは、この中で最も大切なことは「ソフトエッジ」であり、その中でも「信頼」を挙げている。


 これでもほんの一部である。
 その他、TQM、日本経営品質賞(アセスメントガイドブック)、ISOマネジメントシリーズなど、目白押しである。
 たくさんありすぎ、何をどうすればいいのか面喰ってしまう。矛盾はあるが、どれも言っていることは間違いではない。ある場面によっては役立つし、まったく当てはまらない場合もある。ひとつひとつが、必ずなにかに該当する。

 ただ現実の経営では、まったく同じ場面が発生することはない。いくら偉大な人の論説を突き合わせても、それだけではなにもわからない。そしてこれらをすべて研究するのは、現実の問題に立ち向かっている企業人には困難である。経営にはそれだけ幅と深みがある。
 大事なのは、自分で納得できる経営常識をもち、それを確実に実践することである。
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