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まやかしの中小企業施策(5月18日)

 現実の中小企業経営がわかっていないと、いくら施策に金をつぎ込んでもムダになる
 
 17日(金)のフジテレビ・プライムニュースでは、今年度の中小企業施策が取り上げられていた。金融円滑化法期限切れを迎え、企業倒産の多発が懸念されているからだ。この日コメンテーターとして参加していたのは、政治家の佐藤ゆかり氏と経済学者の山口義行氏であった。
 佐藤氏は政治家として、施策内容とその趣旨についての説明には、まことにそつがなかった。言葉の運びも、滑らかである。しかし、中小企業の本質的な課題については、建前しか知らないのがありありであった。なにも現実をわかっていない。反対に山口氏は、現場を知っているだけに、中小企業の実態を理解しているなと思った。
 番組で論点になったものを、いくつか挙げてみよう。

 一つは、大企業OBの活用である。施策にも取り入れられている。しかし中小企業で、大企業OBを受け入れてプラスになることはほとんどない。大企業で環境に恵まれて高給を食んでいた人は、中小・小規模企業の劣悪な環境(人、モノ、資金、情報・・)で力を発揮することは、まれである。むしろそこへ、大企業の複雑な管理システムを導入しようとして、混乱させてしまう。(もちろん、例外はあるが、その目利きのできる人がいない。多くは、大企業の名前だけで恐れ入ってしまう。)
 タイミングもある。現職を離れて1~2年もすれば、どんな優秀な人材も錆びつく。仕事に必要な人脈も乏しくなる。プライドを捨て低賃金に甘んじてもらうか、持っている知識の一部だけをいただくしかない。

 つぎに、金融円滑化法期限切れに伴う、いわゆる「経営改善計画策定支援」である。今年度は、この改善計画策定だけで、数百億円もの予算がついている。そして計画策定を支援する人(認定支援機関)は、公認会計士や税理士を想定している。ということは、財務的な数値計画が中心となるのだろう。
 じつは、こんなものはほとんど意味がない。本当は、その数値を達成するために、どのような実施計画を立て、どのように行動するかが重要なのだ。具体的に、どのような戦略でどのような商品を開発するのか。効率よく製品をつくる方法や、誰と協力してどこに販売チャネルをつくるのか。そのための、社内外の人脈・技術の活用法。そして何をすればいいのかわかっても、その通り行動できるような環境を整備しなければならない。これらができていなければ、改善計画など「絵に描いた餅」にしかならない。こんなものに、何百億円もの予算をつぎ込むのは、まったくばかげている。
 もっともこの助成制度は、顧問として多くの中小企業を抱えている税理士に対する利益供与の意味合いが強い。つまり、改善計画費の企業負担分1/3は、これまでの顧問料をそのまま充当できる。企業の金銭負担は、まったくない。圧力団体であるTKCの面目躍如である。これでは、企業自身が本腰を入れて経営改善に取り組もうという姿勢にならない。 
 もしかして、この制度のほんとの目的は、会計事務所の経営改善ではないのか。

 さらに、補助金制度の使い勝手の悪さである。申請の手間に加えて、採択までの絶望的なまでの遅さ、実施に移ってからの融通のなさ、事後報告の煩わしさ、・・こんなことなら、補助金を受けないほうが、よほど新規事業を成功させることができる。私自身も、補助金を受ける組織の担当者として、あるいは中小企業の支援者として、まったく同じ思いをしてきた。
 優良な革新企業ほど、補助金制度には目もくれない。

 ほかにもあるが、山口氏の見解はすべて共感できた。というより、私自身が問題としてきたことそのままである。
http://abegorou.blog.fc2.com/blog-entry-11.html

 これが、実際の施策に反映されればいいのだが。佐藤氏のような、実態をわかろうとしない人が、政治家として大きな顔をしている限り、まず無理であろう。
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