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食品安全衛生管理

 HACCPといっても、8割がた5Sである。この機会に社内で取り組むようにしたい
         あらゆるウィルスや細菌と戦うには、食品事業者の行動がカギとなる


 食品衛生法の一部が改正され、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理の実施を求めることが決まっている。30年6月に法改正し、2年後に施行だから、あと1年半の猶予である。

 HACCPは、食品のリスクを管理するシステムである。事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握し、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるため、重要な工程を管理し安全性を確保する。システム認証規格としては、ISO9001をベースとした、ISO22000が制定されている。

               精進料理 中食 H28.10.09

 もちろん、すべての食品事業者がISO22000のシステムを構築する必要はないし、フルスペックのHACCP認証を受けるのは、きわめてハードルが高い。厚労省も、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理にするといっている。

 厚労省は、簡易版のHACCPを公開している。とりあえずは、そのコピペでごまかせる。
 それでも、どうせ社内に取り入れるなら、有効にしたい。
 まず従業員に対し、HACCPを外圧として、押し付ける。幸いHACCPといっても、8割がたは整理整頓、すなわち5Sである。この機会に全員に5Sを意識付け、社内で取り組むようにしたい。
 新型コロナだけでなく、あらゆるウィルスや細菌と戦うには、食品事業者の行動が非常に重要である。
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AIビジネスコンテスト

 コンサルタントも、役所の仕事ばかりしていると目が曇ってしまう

 先日NHK(Eテレ)で、「日本を変える全国高専ディープランニングコンテスト」の、記録動画が放送された。全国の高専生が、人工知能を使った新ビジネスを提案するコンテストである。それを、日本の名だたる投資家5名が評価する。
 
 コンテストに出たビジネスの内容は、以下の通りである。
 沖縄の魚の名前と説明を表示(沖縄高専)、送電線点検ロボット(香川高専)、工場設備のメーター点検ロボット(長岡高専)、ドローンと組み合わせたイノシシ発見、他の動物と選別してイノシシを檻に捕獲、ナビによる運転補助システムなど7校であった。

 魚の名前を表示するシステムは、世の中のあらゆるモノの説明に応用可能である(もっともこれはグーグルが広範囲に開発しているらしい)。送電線点検ロボットは、道路や橋梁、ビル、下水道などあらゆるインフラに応用できる。その他のシステムも、応用範囲が広くいろんな可能性を有している。

 解説の松尾教授が述べていたように、AIシステムにおいて、インタネットと5G分野では、日本はアメリカ・中国に対し絶望的に遅れている。だが、ロボットなどハードメカを組み合わせたAIシステム開発については、まだ可能性がある。つまり1周まわって、昔の機械技術者が活躍する余地が生まれてきたのではないか(この面でも日本は寂しい限りだが)。

                美人ロボット H27.10.9

 このコンテストで感心したのは、プレゼンが時間切れで中途半端になってしまった長岡高専が優勝したことである(内容は、私自身あまり評価していないが)。民間投資家は、形式より中身を重視しているのである。審査員がお役人なら、決してこんなことは起こらない。われわれコンサルタントも、役所の仕事ばかりしていると目が曇ってしまう。

 今回はまだ、プレコンテストである。来年以降、本格的なコンテストを行うという。これまでのロボットコンテストは、単にハードの性能を競うものであった。それに対しAIコンテストは、ビジネスアイデアのコンテストである。その場で結論は出ない。当たり外れはあるが、アイデアだから無限の可能性が生まれる。それを評価するには、さらに柔軟な発想が必要である。

事業承継と事業継続

 事業を維持するより組織を維持するほうが難しい。会社はやめても事業は続ける

 いま、経産省の肝いりで「事業承継事業」が進められている。ややこしいが、前回ここで取り上げた「事業継続」(BCP)とは微妙に異なる。というより、「事業承継」は「事業継続」の一部であって、あらゆる事業項目のうち、もっとも重要な経営権の引継ぎである。
 中小企業経営者の高齢化が進み、今後経営者の多くが引退時期を迎えるため、経営が引継ぎされない企業があれば、そのぶん生産活動は停滞する。

               子連れ R1.6.24

 ただ一概に「事業承継」といっても、継ぐべき組織の性質や大きさによって、まったく事情が異なる。総理大臣のように、なりたい人が山ほどいて、ふるい落とすのに苦労する組織もあれば、町内会長や診断士会長のように、成り手がなくたらいまわしになるものもある。
 また、5~10年かけて計画的にじっくり引き継ぐ場合と、先代の急死でやむを得ず引き継ぐ場合がある。前者はまさに「事業承継事業」で支援の対象になる案件であり、後者は災害時の緊急対応と同じで、「事業継続」に近い。

 さらに、根本的に事業承継ができない事業所も多い。起業した時点で、事業の継続は個人のみの力量に負うところが多く、最初から1代かぎりを前提とした事業である。私のように、個人で開業した士業はその典型である。デザイン事務所や個人の設計事務所にも多い。私自身、事業所の後継ぎはいないし、私の行っている事業も、世の中にどうしても必要なものではない。代わりはいくらでもいる。

 そして事業を維持するより、組織を維持するほうが難しい。
 組織のなかではやりにくい事業を、個人でも、生きている限り続けたほうが、世の中の生産活動は増える。もちろん、社会全体として豊かになる。

福井の観光資源

 肝心の消費額を増やすのに必要なのは、宿泊施設と夜の遊び場である

 先日、福井県診断士協会の例会で、日本銀行福井事務所の小泉所長の講演を聴いた。前半は福井を中心とした最近の金融・経済情勢。後半は、都会人の小泉氏から見た福井の観光資源について。
 その後半部分で、興味深い指摘があった。

 まず石川県と福井県の観光客について。もともと金沢を有する石川県は、入込数が圧倒的に多い。観光動態調査によると、平成27年(3月に北陸新幹線金沢開業)、石川県の観光客入込数は2501万人と、1271万人の福井の2倍となった。

 そしてその内訳をみると、石川県は、トップ3の兼六園279万人、21世紀美術館237万人、金沢城公園228万人が抜きんでている。4位から10位は91万人(白山比咩神社)~63万人(百万石まつり)である。 一方、福井の上位3位は、東尋坊134万人、越前海岸134万人、恐竜博物館102万人で、4位から10位は96万人(西山公園)~58万人(三方五湖)である。

 すなわち石川は、兼六園中心の圧倒的な集客数で、全体の入込数を押し上げているだけである(石川の上位3カ所は、ほとんど同じ場所といってもいい)。反対に福井は、これといったシンボル的な個所がない。東京の人には、「東尋坊」がどんなところか、ほとんど分かっていないという。この見方は私にとって初めてで、新鮮であった。考えてみれば、これはパレート手法である。
 また小泉氏は、都会から見た福井の認知は、「かに」と「永平寺」だという。永平寺はともかく越前かには、希少資源としての制約があり、持続的な観光資源にはなりにくいと思うのだが。
 これらの指摘から、つぎのようなことがいえる。

               子どもの恐竜

 福井も兼六園のように、圧倒的な知名度と集客を確保できるシンボルが欲しい。
 じつは候補はいくらでもある。
 観光箇所を集約させるという観点からは、勝山に注目したい。恐竜博物館、越前大仏、平泉寺の3つである。いずれもその分野では、日本一いや世界一を誇る。なんとか歩いて周遊できる。とくに越前大仏の勇壮さは圧巻である。これを集約して目玉資源にしたらどうか。

 その場合忘れてならないのが、観光消費額を増やすことである。
 いくら観光客入込数が増えたとしても、消費額が増えなければ意味がない。平成27年度においての観光消費額は、石川3223億円、福井937億円であった。石川は入込数は2倍でも、消費額は福井のじつに3.5倍もある。いまのままでは福井に観光客を呼びよせても、ゴミと排せつ物の処理だけ増える。奈良県モデルにはなりたくない。

 そこで重要なのは、宿泊施設と夜の遊び場ある。いずれも福井は圧倒的に弱い。片町スナックも高齢化が進み、経営者はママと呼べる年代ではなくなった。ナイトタイムエコノミーとして、まず片町の強化に力を入れる。片町助成金を、大人の県民一人当たり1万円支給したい。県民もれなく片町に行けば、福井は生まれ変わる。年間50億円の予算で充分である。あるいは、勝山の遊郭を復活させるのも捨てがたい。女性の消費が多いことを考慮すれば、ホストクラブの普及を支援していきたい(じじいのホスト)。

 つぎに、足を引っ張る人を始末しなければならない。特定の観光資源を取り上げると、他の地域そして意外と地元からの反発も大きくなる。妬みである。これは片町助成金の配分でなだめる。
 もちろん、福井への観光客が増えれば、おのずと宿泊施設も植える。空家はたくさんあるし、売れないマンションをホテルにすることもできる。

修復ビジネス

 修理・修復するほど、以前の製品より価値が上がるビジネスモデルをつくりたい
 
 TVやパソコン、電気冷蔵庫、乗用車のような耐久消費財の場合、寿命はせいぜい10年である。一部だけ壊れたときも、修理しないで最新のものを購入する。保証期間の間に異常が発生し、メーカーに修理を依頼しても、たいてい新しいのと交換される。

 すなわちこれらの商品は、故障や破損部分を、きちんと修理して再生するような仕組みにはなっていない。ほんの一部修理する場合も、異常部を含む大きなユニット全体を交換してしまう。軽い虫歯一本で、総入れ歯にするようなものである。最終商品の価格や、流通、修理工賃などのコストを計算すれば、企業にとってやむを得ない。
 
                ロボコン

 しかし、いつまでもこのような使い捨て経済で、世の中が成り立って行けるのであろうか。このままではあっという間に、地球上の資源とエネルギーを使い果たす。

 もともと古典の世界では、「修復」の価値は高い。見る人のいない古代美術品を見事に修復し、再び古典としての資産価値を高める例は多い。
 磁器や陶器の修復も価値がある。
 福井県立美術館の、「クローン展」は、むかしの美術品を復元させたものである。
 また金継ぎ”は、割れたり欠けたりした器を漆で接着し、継いだ部分を「金」で装飾しながら修復する、日本の伝統的な器の修復方法である。偶然のヒビや欠けに装飾された「金」によって、元の器とは違った風情と味わいが出てくる。もちろん修復したものの方が高価になることが多い。

 骨董品でなくても、旧式戦闘機の電子部品を交換することで、最新のF35Jステルス戦闘機と同等の性能を確保できる。
 メガネ枠が壊れたとき、修理に10,000円出せば、新品同様になる。最初ユーザーは30000円で購入するから、新しく購入するよりはるかに安い。じつは、メーカー出荷時の原価は3000円でしかない。
 ハイビジョンTVも、新品を買えば中国にお金が流れるが、修理すれば日本の技術者が潤う

 交通インフラも、修復がメインになる。すでに日本では、73万ある橋梁のうち50年以上たったものが30%、まもなく50%を超える。これでは、新しいものを作る余裕などない。むしろ橋梁は取り壊す必要がある。
 まちづくりも、単にむかしを取り戻すだけでなく、いまや「修景」、すなわちプラス・アルファが不可欠となった。

                団子3兄弟 H30.6.16

 修理は、カイゼンである。本来なら、修理・修復するほど、以前の製品より価値が上がってしかるべきである。もともと付加価値の高い商品を、修理するたびさらに価値を高めていく。近年の日本女性は、「化粧」というみごとな修復技術の進歩で、存在価値を高めている。化粧だけでカバーしきれない韓国女性は、美容整形が当たり前になった。そもそも、「医療」は人類最大の修復技術である。現物が箸にも棒にもかからない中国人女性は、写真の修整でお茶を濁す。

 各分野においてアイデアを出し、新しいビジネスモデルをつくりたい。資源・エネルギーが無く、人的資源しか活用できない日本が採りたい戦略である。

IT社会における日本企業

 これ以上日本製品(サービス)を海外販売するより、国内消費を増やす方が豊かで幸せになる

 IT情報産業の特徴のひとつは、その量産効果である。ものづくりとは異なり、複製するのに、圧倒的に資源や労力を抑えることができる。対象となるユーザーが多ければ多いほど、利益が拡大する。在庫リスクもほとんどない。情報産業であるから、顧客とのコミュニュケーションが決定的な価値となる。

 したがって、世界で20億~40億人とも言われる英語圏を対象とする企業は、その出発点から優位に立つ。その象徴が、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)である。英語圏ほどではないが、16億の中国、13億のインドもそれに続いている。
 日本の人口は、その10%にも満たない。情報を売り物にする日本企業は、最初から大きなハンデを負っている。

 では、日本の中小企業はどうすればいいのか。
 西和彦氏(元マイクロソフト社副社長)は、「まず英語でホームページをつくれ」という。たしかに、中小企業の商品を海外に紹介するビジネスを行っているところは、それなりの収益を挙げている。中小企業でも、全体の10%くらいはそうしたほうがいい。

              旅館の朝飯 H30.6.16

 残り90%の中小企業はどうするのか。
 デフレで減速しているとはいえ、日本は未だ経常黒字が続いている。2018年度で、およそ20兆円。累計で300兆円を超え、それを国民が溜めこんでいる。そんな状況で、これ以上日本製品(サービス)を海外に販売する必要があるのかどうか。いくら金があっても、遣わなかったら意味がない。

 本来なら海外との黒字分は、日本国民が消費すべきであった。せっかく日本人が作った素晴らしい製品やサービスを外国人に享受させる必要はない。もっと日本人が欲しいものをつくり、日本人がたくさん消費する。モノもお金も技術も日本に残る。それが豊かになるということである(民間がやらなかったら、20兆円を軍事費として支出してもいい)。

 20億や16億に比べて少ないといっても、日本はまだ1億人以上の人口を抱えている。しかも全員日本語堪能である(あたりまえ)。日本の大半の中小企業は、この日本人を相手にするだけで充分である。とても海外に目を向けることはできないし、その必要もない。

 そのなかで、これから世の中に推奨したいビジネスがある。
 修復ビジネスである。(続く

ゼネレーションギャップ

 2世代も離れた若者の思いを、70才にもなるじじいが理解できるはずがない

 企業経営コンサルタントになったはじめは、工場診断が中心であった。もともと機械系の技術者で、工業系での診断士資格を取得した。そのうちいろんな業種の企業診断を依頼されるようになった。5~6年前までは若気の勢いで、知らない業種も手掛けてきた。

 最近年を取るにつれ、経営者とのゼネレーションギャップを感じるようになった。とくにサービス業で、50歳以下の経営者に対してのギャップが大きい。まだ製造業では、製品とその出来栄え、つくり方を中心にみるため、経営者の年代はそれほど意識しない。

              妖しい花弁

 サービス業の場合、その企業のお客は、ほぼ経営者と同じ年代である。サービス業は直接お客と接している。その事業を評価するには、若いお客の立場になる必要がある。2世代も離れた若者の思いを、私のような70才にもなるネトウヨじじいに理解できるはずがない。音楽の好みや、企業内での人の接し方、日々の行動パターンなど、生活感覚がまるで異なる。

 小売業でも、婦人服や化粧品販売事業の診断は難しい。むかし子供服専門の小売店の診断を行った。かわいい女の子の洋服一杯の雰囲気で、お客は若いお母さんばかり。いたたまれず、そそくさ店を出てきてしまった。
 もはやオヤジを対象とした事業しかわからない。

AIによる生産性向上

 コンピュータが普及するたび余計な仕事が増えた。AIも同じ穴のムジナか

 AIが本格導入されれば、人手不足が解消されるのか。
 たとえば現在、日本には6000万台の自動車が登録されている。今後10~20年以内には、その半分が自動運転車に取って代わる。自動運転によって運転業務が激減するなら、「輸送・機械運転従事者」約220万人の仕事が無くなる。

 もっと大きいのは、自動運転になるとシェアリングが普及し、自動車数が激減することである。すなわち自動車の生産に携わっている人が減る。ざっと、1000万人分の労働力をはじく。

 また、AIによる通訳機能が進化すれば、海外企業との煩わしい翻訳業務が減る。通訳もいらない。すでに通常会話程度なら、AI通訳機は下手な通訳者よりうまい。もとより技術を伴う取引では、並みの通訳者では専門用語が理解できない。技術者同士で専門用語は通じるから、AI通訳機を組み合わせれば充分意思は通じる。
 したがって語学教育に携わっている人を含め、少なくとも100万人の労働力が不要になる。

 さらに、電子決済が100%近くになれば、取引のすべてが自動的に会計処理される。つまり、会計士という「高度」な人材も不要になる。いまは政府が、わざと税金の計算をややこしくして、彼らの仕事をつくっているだけである。
 農業や建設業の無人化も進む。
 その他いろんな分野で、人間がいらない仕事が発生する。数千万単位で労働者が余る。

                いじけた猪

 さて、これらの余剰人材はどうなるのか。
 理想的なのは、生産性が上がった分を全員の仕事時間を分け合い、短時間労働を達成することである。給料が同じで労働時間半分なら皆が満足する。同時にこれまで疎かにしていた軍事産業への人材投入をはかる。もちろん、直接自衛隊員も増やす。じじいに加えて中堅層が加われば、戦力は倍増する。 



 もっともAIも、これまで何十回となく行われてきたコンピュータ革命のひとつにすぎないのではないか。これまでも、情報化、マルチメディア、ネット通信、IT、IOTなどが、鳴り物入りで入ってきた。その流れで、AIが出ている。これまでは、いくらコンピュータが普及しても、労働力は減っていない。余計な仕事が増えるだけであった。AIも同じ穴のムジナのような気がする。

企業の生産性向上

 ハイリスクを背負えない日本人は、いまの仕事でチマチマと効率を上げるしかない

 なぜ日本企業の生産性は低いのか。
 宮川努学習院大教授は、「生産性とは何か」の中で、およそつぎのように書いている。
≪日本企業の生産性が低い要因の一つに、開業率の低いことがあげられる。つまり生産性の高い企業が参入し、低くなった企業が退出すれば全体で生産性が高くなる。その自然循環がなされていない。
また生産性が高い製造業ほど、海外移転が進んでいる。もちろんこれは経済全体ではマイナスの生産性となる。製造業が移転すれば、働く人は生産性の低いサービス業に従事せざるを得ない。

 ただ存続している個々の企業においては、生産性向上効果のほとんどが、既存の財の生産性変動ではなく、新しい財の導入と古い財の削減による生産性上昇効果によるものである。企業内の財の削減は、労働生産性の向上をもたらしている。≫

              タヌキの行列

 考えてみれば当たり前である。いまの製品を効率的につくる方法を考えるより、高く売れる新しい製品をつくったほうが儲かる。放っておけば、古い製品はどんどん価格が下がる。それ以上に効率を上げ続けるのは至難の業である。

 もっとも、高く売れる新しい製品をつくるのも難しい。むしろ古い製品の効率を上げるより困難である。千三つといわれるリスクを負わなければならない。冬山遭難でさえ槍玉に挙げるようないまの日本人に、ハイリスクでつぎつぎ製品開発を行うような気概があるとは思えない。

 したがって凡人は、いまの仕事の延長でチマチマと効率を上げていくしかない。それさえできなかったらおしまいである。
 では具体的にどうすればいいのか。

年賀状のノルマ

 20億枚の年賀状を販売したら、1億人の1日分の労働時間を奪う

 廃止されたと思っていた、郵便局員の年賀状配付ノルマが、まだ残っていた。昨日のTV朝日モーニングショ―によると、ある局では、一人当たり8000枚が課せられたという。そのため半分近く(20万円)を「自爆営業」した人もいるらしい。

 昨年度(18年)の年賀はがきは、約26億5千万枚販売し、実際に配達されたのは約20億6千万枚。その差5億9千万枚に自腹購入分が入っている。金額にして約300億円、日本郵政㈱従業員数193000人で割ると、一人当たり150000円。

 年賀状だけではない。お中元、歳暮、ふるさと小包、地元のくだものやお菓子、かもめーる、レターパックや切手、カタログギフトなど、郵便局で販売される商品のほとんどに、ノルマ=目標指数があるはずである。目標なしに事業をやれるほど能天気な企業はない。
 局員にノルマを与えるのは組織としてあたりまえである。日ごろユーザーと接触する配達員なら、一番効果的である。これを多能工化という。配達員が、ただ配達だけするなら、発達能力のある人間様がやる必要はない。

                犬刺客

 この点について、TVのコメンテーターの、「通信手段が多様化し、毎年減少している年賀状の販売は時代遅れ」、なので「ノルマを与えるのはとんでもない」という発言は、ピントはずれである。減少しているから、お客のニーズを聴くため局員をフル動員するのである。
 そんなこと言うなら、ネットに押され低迷の視聴率を上げようとする、テレビ関係者の努力こそ無意味である。


 むしろ困っているのは、ノルマを口実に、無理やりはがきを売りつけられるお客の方である。知り合いの局員から泣きつかれると、断ることはできない。私も、今年こそやめようと思っていたのに、山ほど買わされた。おかげで年末の小忙しい時期にほとんど一日、年賀状の印刷と宛名書きに費やしてしまった。年賀状作成1枚3分としたら、20億枚で6億時間。じつに1億人のほぼ1日分の労働時間を奪う勘定になる。これだけあれば、1兆円の経済活動ができる。

 もっとも昼行灯と同じ、大多数の「ボーっと生きてる」人は何もしない。いくら時間があっても同じである。

ソフトバンク上場

 博打だから世の中の半分は儲かるし、宝くじよりは確率が高い

 ソフトバンクグループの子会社であるソフトバンクが、東京証券取引所第1部に上場した。初値は、公開価格の1500円を下回った。それでも、2兆6000億円の資金調達である。底割れしなかったのは、5%の利回りを「保証?」していたからである。それになんといっても、名が売れているし東証1部に上場したのだから、株券が紙切れになることはないと信じられている。

 だが預金金利0.01%に満たない時代において、5%もの金利保証はいかにも高い。配当性向85%というから、儲けの大半を配当に費やす。だから利益が出なかったら意味がない。むかしから、「黒毛和牛」や「IPS細胞」など投資詐欺に遭って、スッテンテンになる人は後を絶たない。投資専門家は、利回り5%はインチキだと思えという。今回も詐欺商法なのであろうか。というより、証券市場が壮大な博打場なのである。

                美人薄明

 このソフトバンクとは何の会社か。国内の移動通信サービスや携帯端末の販売、ブロードバンド、固定通信サービスを行っている。親会社のソフトバンクグループは、インターネットを事業基盤としており、情報産業の中で「ソフトバンク事業」「スプリント事業」「ヤフー事業」「アーム事業」「ソフトバンク・ビジョン・ファンドおよびデルタ・ファンド事業」「ブライトスター事業」などを展開している。投資会社なのである。

 その会社が、2.6兆円もの資金を何に使うのか。ソフトバンク事業を拡大するだけではなく、あたらしく、AIなどの新事業に投資するのだという。この前、すったもんだして役員が総退陣した官民ファンドも、同じようなことを言っている。


 この前、官民ファンドがとん挫したように、人のふんどしで相撲を取る投資会社は、よほどの目利きである「伯楽」が不可欠である。これまでは、孫会長がその役を担ってきた。その孫会長の神通力がいつまで続くのであろうか。60歳を超えた個人の力量をあてに、数兆円もの資金を預けるのは、いかにもリスクが大きい。
 ただ博打だから、世の中の半分は儲かる。宝くじよりは確率が高い。

払い過ぎ料金

 大企業や国家ぐるみの壮大な詐欺より、オレオレ詐欺の方がまだ可愛らしく見える

 先日ふとしたことから、ガラケーのⅰモードの料金を払いっぱなしになっていることに気がついた。月額320円であるが、もう使い始めて15年ぐらいになる。ちりも積もれば、320円×12月×15年=57600円 となる勘定である。

 なにしろ古いので、ⅰモードの機能はとっくに失われている。そもそも最初からこの機能を一度も使ったことがない。購入したときなぜか、ⅰモード機能付きの方が安かったので、そのままになっていたものと思われる。

                タヌキの金玉

 問題なのはこの払い過ぎを、ある人に指摘されるまで、まったく気がつかなかったことである。言われなかったら、死ぬまでそのままであった。5年ほど前も、10年以上使っていないWiFi分配器のレンタル料金(月500円)を解約したことがあった。 
 その他にまだまだ、私の気がついていない払い過ぎの料金がたくさんあるはずである。

 この払い過ぎとなる大きな要因は、料金体系がさっぱりわからないことである。複雑な割引やオプション、頻繁に変更される機能別料金などものすごくややこしい。その上、きちんとした請求書や領収書がない。これでわかるはずがない。輪をかけて複雑なのが税制である。これも事業をはじめて30年。トータルすれば数千万円くらいあるかもしれない。
 これは支払い方ばかりでなく、年金など受け取る方にも言える。

                金が飛んでいく

 さらにこれから電子決済が増えると、払うのは便利でも、裏ではお金の流れがますます複雑になる。たとえば、ソフトバンクの「ペイ・ペイ」では、受け取るほうがQRコードさえ持っていれば、スマホで簡単に支払いができる。たぶんこのとき、少しづつどこかに抜かれている(少なくとも個人情報は筒抜けである)。それに、誰にでもいくらでも(今は限度があるが)払っていたら、あっというまに破産する。それこそ一気に「ペーペー」になる決済法である。

 これらは、大企業や国家ぐるみの壮大な詐欺ではないか。オレオレ詐欺の方がわかりやすいだけ、まだ可愛らしく見える。

足羽ハピジャン

 動物園が盛況になれば、足羽山公園から福井市の賑わいがはじまる

 昨日、9月に新装オープンなった足羽山動物園に行った。屋内のふれあい動物館「ハピジャン」が評判である。じじいだって動物に癒されたい。先週は、愛宕坂から徒歩で入ろうとして「完全通行止」に会ってしまった。そこで昨日は西墓地から乗用車で登った。

 動物園前の坂道で、早くも車が列を成している。最後尾から駐車場まで2百メートルはある。好天の日曜日だからムリもない。しかも入場無料である。動物園駐車場は3~40台のスペースしかなく、20台以上順番待ちしていたら、入れるのはいつになるかわからない。
 少し戻って、西墓地駐車場から徒歩で登ることにした。緩い坂道を1㌔(20分)も歩けば、駐車待ちの車を横目に、悠々と園に入れる。

足羽山動物園 H30.11.25 カピバラ H30.11.25 ハリネズミ H30.11.25

 「ハピジャン」は、『ハッピージャングル』の略で、熱帯ジャングルの中で動物たちと楽しく触れ合えるとのコンセプトである。動物と見物客を隔てていないため、すぐ目の前で生の活動を観ることができる。植物より動物のほうが100倍面白い。
 25度くらいの温室には、いろんな動物がいる。ナマケモノや、カピバラ、カメレオン、ハリネズミなど、20匹くらいか。数は少ないが、見物客と同じ空間で触れ合うことができる。昨日のように狭い空間に人が詰まってくると、動物より人間に触ろうとする不届き者も現れる。

 もちろんここは大人しい動物しかいない。それでもオニオオハシの嘴が一閃すれば、子供なら傷つく。下手すると目玉をえぐられる。いろんな細菌も繁殖している。事故は必ず起こる。そのうち出てくるであろう、ゼロリスクを求める神経質な人たちの声に負けないでほしい。

サル山 H25.11.25 寂しいカンガルー H25.11.25    ナマケモノ H30.11.25

 この動物園の歴史は長い。たぶん50年にはなる。「ハピジャン」以外にもこの動物園には、カンガルーやニホンザル、ミニブタ、ヒツジ、ロバなど数多くの動物がいる。ただ、西山動物園レッサーパンダのようなスター動物がいない。ライオンのような迫力ある猛獣もいない。それに他の多くの檻では、ハピジャンほど見せ方に工夫がない。
 サルの檻に見物客が通れるトンネルでもつけたら、もっと人気が出るはずである。また人間の入った本物そっくり「野生ライオン」がいたら面白い。ゆるキャラはこのようなところで使いたい。無料では無理か。

 問題は、1000円位の入場料をとっても、これだけの見物客が入るかどうか。これが集客力の見せ所であろう。動物園が盛況になれば、足羽山公園全体が賑わう。そこから福井市の賑わいがはじまる。「ハピジャン」で終わらせてはいけない。

ゴーン氏逮捕

 ゴーン氏の最大功績は、「権力は絶対的に腐敗する」という格言を証明してくれたことである

 コストカッターと異名をとったカルロス・ゴーン氏が逮捕された。容疑はいまのところ、経済上の形式違反である。今後、実質的な犯罪行為が明らかになってくるはず。内部クーデターという話もある。

 ゴーン氏は20年前、瀕死の日産に救世主のように現れ、あっという間に大赤字の日産を立て直した。その手腕は誰も疑いようはない。白アリのような労働貴族と、悪慣行にどっぷり浸食された大企業の体質を変えるのは、並大抵のことではなかったはずだ。
 またそこでは、2万人のリストラを行った。すそ野まで含めたらおそらく、10万人規模の人が犠牲になった。自殺した人もかなりいたに違いない。前後して日本人の自殺者が3万人を超えている。その怨念が渦巻き、ゴーン氏には恨み・辛み・祟りが集中していた。

                ゾンビ

 結局、経済界であれだけの名声を得たゴーン氏も、晩節を汚すことになってしまった。本来なら、日産を立て直したところで、潔く辞めたほうが良かったと思う。せいぜい10年であろう。もちろん退陣する前に、後継者を育てておく必要があった。
 お金の欲望には際限がなく、辞めるにやめられなかったのかもしれない。


 それでも、ゴーン氏の社会貢献は絶大であった。潰れかかった日産という大企業を立て直したこと、そして「権力は絶対的に腐敗する」という格言を、身を持って証明してくれたことである。その功績は大きい。
 これで、福井県の知事選における5選目の目は無くなった。移民政策や消費増税に走る安倍政権も、もう潮時である。

地域再生とは

 世間の雑音に惑わされず、「自己責任」で思い通りの道を進んだほうがいい

 本格的な人口減少時代を迎え、いまや「地域創生」は政策の重要なキーワードになった。
 「地域再生の失敗学」で飯田泰之氏は、「現代の先進国経済において、生産性を向上させる要因は、個人・組織・地域のクリエイティビテイへと移行していく」と書いている。

 地域経済を発展させるためには、どうしたらいいか。

 この対談本の中で飯田氏と木下斉氏は、以下のように述べている
①まず稼ぐ力をつける必要がある。いかにして「稼げるまち」にするか
②ゆるキャラは「まちおこし」ではない
③「経済効果」の数字はいい加減。大抵、プラスとマイナス合わせればわずか
④代理店丸投げのイベントは、どこも同じ
⑤川上~川下までのサプライチェーンの、どこで稼ぐかが勝負
⑥地域内でいかに付加価値を高めるか。内需拡大と資本を回す
⑦テナントなどチェーン店ばかりではリスク大。小さな事業を集めて強くする必要がある
⑧事業者には稼ごうとする意欲と、仲間を呼び込める資質が必要
⑨域内店舗での製造販売と、週末行商での「貿易黒字」を狙う
⑩避けられない人口減少で、行政にはいまあるものを捨てる勇気が必要

                金の成る木

 また、入山章栄氏(早大)は、稼ぐための革新的な事業を起こすため
①フェイス・トゥ・フェイスやインフォーマルなコミュニュケーションが重要
②自分がすべてを知るのは不可能、「誰が何を知っているか」を知ることが重要
③ビジョンは経営者の顔
④そのためにオフィスはフラットにして交流を促進
⑤優れたアイデアを出す人は、ボーッとすることの重要性を知っている
⑥国内競争より海外の方が日本ブランドをアピールできる


 すべて納得することばかりで、全く異論はない。問題は、これを現実に実行する人がどれだけいるかである。いくら鐘や太鼓で煽っても、踊る人がいなければ何にもならない。


 むかし私が大学を卒業して就職するとき、これからは中小企業と地方の時代だと煽てられ、地元の小さな企業に入社した。その会社は半年余りで潰れ、その後点々と零細企業を渡り歩いた。いま、この体たらくである。
 社会で働こうとする人たちは、世間の雑音に惑わされず、それこそ「自己責任」で思い通りの道を進んでいったほうがいい。ただ一つ重要なのは、自力で稼ぐことである。

銀行経営

 融資先がないなら、自ら融資先を作るのが銀行ビジネスの王道である

 銀行経営が窮地に立たされているという。今年の3月期決算では、銀行全体の6割以上49社が減益か赤字となった。最終損益合計は前期比8.4%減の9824億円と、2年連続のマイナスであった。来年3月期も52社が減益を見込んでいる。

 預金金利に1~2%上乗せして貸し出し、利ザヤで儲けるというビジネスモデルが成り立たなくなってきたからである。何しろ企業の内部留保が400兆円を超え、借りてくれる企業が少なくなった。日銀の大規模金融緩和による低金利の影響もあるが、預金金利が低いので貸出金利との差はむかしと大きく違うわけではない。

 これから景気が後退すれば不良債権が増えるし、逆に景気拡大が続けば企業の内部留保が増す。だから銀行不況は構造的となった。簡単には回復しない。裏技を使わない限り、すべての銀行が生き残ることは難しい。

 したがって、これからは銀行の人材が溢れてくる。日経によると、転職相談をしている行員が数千人、転職サイトに登録している銀行員は19%増と、他の業種に対して明らかに多い。現在、全国の銀行の職員数は約30万人、その他の金融機関を含めたらその倍はある。したがって、おそらく10万人単位での余剰人員を抱えている。

              ゾンビ

 ではこれから、銀行はどうしたらいいのか。
 銀行などどうなってもいいが、そこには「優秀な」人たちが大勢いる。日本の活力を増すためには彼らを活用しない手はない。むしろ経済全体にとっては、チャンスである。
 銀行自身はどう考えているのか。今月共同通信が行った地銀66社へのアンケートでは、8割が「コンサル力強化」を収益拡大策としている。すなわち銀行は、融資する顧客を待つ姿勢から、顧客のビジネスモデルを提供する事業への転換をはかるのだという。

 だがそれでは弱いし信用できない。銀行のコンサルでは、企業でなく銀行のためのコンサルになる可能性が高い。つまり銀行は、企業の内部留保を失わせ、刹那的投機目的の借金体質に変貌させるコンサルをしかねない。バブルの再来である。


 そこでこの際踏み込んで、銀行員がそのビジネスモデルを直接手掛けてしまったらどうか。その舞台は腐るほどある。後継者不足で困っている事業所を買い取るのである。そのときは、これまでの出向とか余剰人員のはけ口でなく、いちばん優秀な人材を送る。優秀な人材を、銀行のような「虚業」に貼り付けておくのは国家的損失である。

 これまでの銀行ビジネスは、安全な優良企業や住宅ローンに傾注しがちであった。その手の顧客ほど利ザヤは薄い。高利の融資先がなくては行き詰る。それなら、その融資する顧客を自ら創造するのである(ドラッカー)。融資先を作るというビジネスモデルをつくるのは、何のことはない、銀行の王道に戻るだけである。
 政府が借金するより、企業が投資のために借金する方が、はるかに活力ある社会が生まれる。

AIの導入と生産性向上

 AIやコンピュータによる生産管理は、しくみづくりが整っていなければ失敗する

 IOTやAIを取り入れようとする企業が増えてきた。それを啓蒙するための、国や自治体の支援制度が充実してきた。現実にそれらの支援制度を活用し、システムを構築する企業もいくつか出ている。

 本ブログでも繰り返し書いているように、IOTやAIは、古くて新しい概念である。私が産業界に入るころ50年前から、わけがわからなくても、コンピュータがもてはやされてきた。直接機械との組み合わせでは、数値制御からの技術革新が、いまでも続く。コンピュータ装置がどんどんコンパクトになり、機能・性能は幾何級数的に増えていく。
 さらに会計や受発注など、記憶と演算機能を活かしたシステムは、企業に大きなメリットをもたらしてきた。

                御堂の躯体 H30.4.28
     
 しかし、不確定要素の多い工程管理となると、中小企業が導入した生産管理ソフトは、ことごとく討ち死にしている。工程の現場には、コンピュータが得意とする記憶と計算以外に、計算を狂わせる膨大な要素が含まれているからである。人、製造環境、顧客要求、設備、材料など、中小企業の現場は、想定外の事象が多すぎる。大企業でシステムを運用できるのは、事業活動の多くが管理された状態にあるため、それらの変動要因が少ないからである
 したがってこれまで、中小企業ではコンピュータを使った生産管理は、敬遠されてきた。


 最近では、AIが注目されるにつれ、それを組み込んだ生産管理システムを導入するという企業が出始めた。AIを組み込んだ管理システムはもっと難しい。導入する企業は、それ以前に徹底して現場の不確定要素を削減してきたはずである。難しいが、それができていれば、コンピュータ上で立てた生産計画と実績との差異のデータを蓄積し、つぎの生産計画の基準値とすることも可能である。

 すなわち、コンピュータによる生産管理は、そこに至るまでが8割を占める。いくらAIが進んでも、導入前のしくみづくりが整っていなければ、必ず失敗する。

GAFAの弱点はあるか

 富と情報を集中させているGAFAの牙城は、どのように規制できるのか

 先日、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)が、現代の大航海時代の覇者であると書いた。そのGAFAといっても、すべて前途洋々としているわけではない。週刊東洋経済(30.5/19号)では、「フェイスブック解体」の特集を組んで、GAFAの問題点を指摘していた。
 この特集によると、GAFA各企業の問題は以下のとおりである。

≪フェイスブック(FB)≫
 今年3月、FBを通じてアプリを提供した人が、そのユーザーと友達8700万人の情報を取得・流用し、米大統領選挙に利用していたという疑惑が発覚した。すなわち、FBは全世界、数十億人のユーザーデータを活用できる。そのデータを利用し、巧みにユーザをあらゆる方向に導いている。解体や規制強化の声も高まっている。
 雑誌の中で楠木建氏(一ツ橋大学院教授)は、利幅の大きな広告業を一気に確立してしまったが故に、凋落も早いフェイスブックが、GAFAのうち一番脆弱と見ている。

≪グーグル≫
 「グーグルショッピング」が、独占禁止法違反で、欧州委員会から24億ドルの制裁金を要求された。「小規模事業者が生き残る余地を市場に残しておくべき」という考え方を、欧州の当局は大事にしてきたからだという。欧州委員会によるグーグルへの攻撃は、「アドセンス」や「アンドロイド」にも及んでいる。欧州委員会は、グーグルを念頭に新たな規制案の策定にも乗り出してきた。
              金の成る木
≪アマゾン≫
 この会社をめぐっては、過酷な労働環境がたびたび問題視されている。倉庫でのピッキング作業者やドライバーとして潜入した記者による「暴露記事」によって、英国などでの世論は「反アマゾン」へと傾きつつあるという。
 ただ、このような潜入ルポによる告発は、トヨタやニッサンでもあった。顧客サービスに偏重する企業に起こりがちで、いま日本では、ブラック企業と呼ばれる。自動化により矛盾を解消できるかがカギである。
 ただこの会社は、(楠木建氏によると)もはや小売インフラのような存在となっており、持続性は高い。

≪アップル≫
 この会社は、iPhoneの収益に大きく依存しているだけ、弱いところがある。
 またこの会社は、軽課税国のアイルランドに知財などの無形資産を移転し、世界中から特許使用料をアイルランド法人に集めているだけでなく、「ダブルアイリッシュ」という取引を使い、ほとんど税金を払わないスキームをつくった。富を徹底的に収斂している。
              金が飛んでいく
 じつはアップルだけでなく、2016年にGAFAが支払った実効税率は9.5%でしかない。これは、一般的な多国籍企業の実効税率23.2%と比べてはるかに低い。恒久的施設のある国に税金を支払う制度になっているからである。IT企業の場合、クラウドサーバーがその主要施設に該当する。そのため消費国で挙げた利益を、サーバーを置いた軽課税国に移転することが出来る。グローバリズムが格差を助長する一つの要因である。

 これに業を煮やした欧州各国は、新たな課税方法を検討している。米国とのせめぎあいもあって簡単ではないが、保守的な欧州でGAFAがどこまで牙城を伸ばすことができるか。
 もちろん日本は、荒らされっぱなしで、GAFAの草刈り場と化している。明治維新で辛うじて保つことができた独立を、大東亜戦争の敗戦で精神的に冒され、いま経済的に搾り取られようとしている。

産業革命以前の未来(AIの進展)

 医師、弁護士、税理士、通訳などの知的エリートこそが、AIに取って代わられる

 AIやブロックチェーンなど、世界ではこれまでとは次元の異なる技術革新が進展している。野口悠紀雄氏は、「産業革命以前の未来へ」という著書の中で、その実態と日本の置かれた状況を論じている。

①大航海時代のフロンティアはイギリスを中心とした欧州だが、大航海は鄭和も行っていた
②産業革命以降、アメリカでは垂直統合によって事業の拡大化が進められた
③その勝者は、鉄道王ビルド、鉄鋼王カーネギー、石油王ロックフェラー、自動車王フォードである。その業種は、現在の日本経済の中心産業でもある
④2017年の世界企業ランキングは、ウォルマート、フォルクスワーゲンなどの巨大企業が占める。成熟企業であるため、成長率は低い
⑤情報を扱うITは、ビジネスモデルの革新が大きな意味を持つ。通信における、電話、ラジオ~インタネット。電子計算における、大型コンピュータ~PC~スマホ
⑥このIT革命が、新しいフロンティアを生み出した
⑦その一つが垂直統合から水平統合である。PCの水平分業から、ソフトや部品に特化した世界企業へと発展していった
⑧現代の覇者は、アメリカのGAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)。
⑨GAFAのつぎ、ユニコーン企業が台頭。ライドシェアリング、民泊シェリングなど。情報フロンティアには開拓の余地は大きい
⑩とくに、シェアリングエコノミーとフィンテック(情報金融)分野の革新では、規制産業と絡む場合が多い

            ペリー上陸碑 H30.7.17

⑪こんどは、これらAI(自動学習能力を持つコンピュータ)とブロックチェーン(電子的な情報を記録するしくみ)が、未来をつくる
⑫AIでは、パタン認識(音声や言葉の意味、図形を確定)、レコメンデーション(データを解析し個人の望むコンテンツを紹介)、映画や音楽のヒット予測、発明や創造(文章、絵画、音楽を製作)などが、進化の過程にある
⑬いずれシンギュラリティ(技術的特異点)を境に、コンピューターが自己発展する?
⑭ブロックチェーンの仮想通貨が確実なものになれば、GAFAのインタネット支配を転換する可能性がある
⑮スマートコントラクト(あらゆる契約、債権、知財など)はブロックチェーンで運営可能
⑯スマートコントラクトで取引できる資産をスマートプロパティと呼び、ブロックチェーンで運用すれば、煩雑な取引の手続きが不要になる
⑰AIやブロックチェーンによって、これまでの多くの職業が不要になる(掃除は残る?)
⑱中国の、百度、アリババなども、アメリカのGAFAに匹敵するようになった
⑲中国はとくにフィンテック(金融業務でのIT)、ブロックチェーンの躍進企業が多い
⑳日本はいまだに、垂直統合型企業と伝統産業分野を教える大学が力を持っている

 我々は、日本のような旧世界が没落したあと、その廃虚の上に立つという認識を持つべき。
 大まかには、「産業革命によって垂直統合化・集権化・組織化が進展したが、新しい経済の最先端は、それ以前の時代の分権的ビジネスモデルへと先祖帰りしつつある」(「はじめに」から)ということである。

              沈没寸前 H30.3.31

 これまでの野口悠紀雄氏の本を見ると、いかにも日本がすぐだめになるような書きぶりである。だがAI技術といっても、言葉が新しいだけで、技術的に昔からの電子計算機の延長である。その技術が、社会の隅々にまで浸透してきたため、既得権益を持つ層との間で軋轢が生まれてくる。これはどんな技術でも同じである。

 たとえば、今後AIに取って代わられようとしているのが、医師、弁護士、税理士、通訳などといった知的エリートである。作家や音楽家も同じである。そして清掃業務のように、これまで高度と見られなかった業務が、AIにとっては難しいのは面白い。考えてみれば、何がゴミか貴重品かなど、AIごときに判断できるわけがない(できるのは、思い切りのいい人間だけである)。

AIの正義 AI・IOTとは④

 いくら合理的判断でも人間が裁いたら誰か文句をつける。最後はAIにまかせる

 AIを搭載したロボットが、現実のものになろうとしている。その場合、人に危害を加えないロボットができるかどうか。むかしから大きな課題として問われてきた。いったいそんなことは可能なのであろうか。

 たとえば予防接種で、(いまの日本では)10万人に一人でも副作用死が出ると大騒ぎになる。予防接種をしなければ、それ以上の人が病気で死ぬことが理解できないからである。また、かってアフリカで、DDTを禁止したことがあった。DDTは、蚊を殺すが人間も殺す。その結果どうなったか。毎年マラリアで死ぬ人が400万人も増えたという。

 そもそも、地球上にいるいま70億もの人口は、際限なく増える。地球の限界から人類の破滅を回避しようとする「正義のミカタ」なら、1億残してあとは抹殺する。その意味で、ヒトラーやスターリン、毛沢東らにも一理はあったかもしれない。

            タヌキの勢揃い

 これらはいわゆる「トロッコ問題」である。トロッコが高架線路を走っており、進路に幼児がいる。このまま走れば幼児を轢き殺す。急ブレーキをかけたら、自分がまっさかさまに昇天する。
 このトロッコ問題をどう解決するか。人間にはこれといった知恵が浮かんでこない。マキャベリの理論を振り回すと、「人道的」立場の人が怒る。


 ではどうするか。
 人間の正義をAIに判断させるのも一つの方法である。いくら合理的な判断でも、人が裁いたら誰かが文句をつける。原発の稼働問題はその最たるものである。(もっとも、原発の稼働はトロッコ問題ですらない。)