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検査至上主義が破滅を招く②

 欠陥を考えず、すべて検査で解決できると勘違いするからおかしくなる ①の続き

 ものづくりにおける検査について考えてみよう。
 たとえば(A)のように、100個の製品の中に、20個の不良があったとしよう(新しい製品をつくる場合、これくらいの不良発生は珍しくない)。検査の場で20個の不良を正確に見つける人は少ない。できるのは、検査の神様だけである。

 実際には、良品なのに不良とされる「偽不良」と、不良品なのに良品とされる「偽良品」が、必ず混在する。

     検査の実際

 良品なのに不良とされる「偽不良」の発生は、不良を絶対に出さないよう慎重に検査する場合(B)に起こりやすい。その場合、不良品を市場に出してしまう可能性は低い。だが、見かけの不良発生数が多くなって、その分利益を直撃する。
 なにしろ不良廃棄品は、原材料の仕入れから出荷までかけたコストをまったく売り上げに計上できないのである。(B)のように、「偽不良」が20個もあると、予定した売上高が40%も減少する。これでやっていける企業は少ない。

 そこで、目先の利益を重視する経営者は、検査を緩くして、できるだけ不良発生数を減らそうとする。その分見かけの不良数は、たとえば10個に減少する(C)。だが、減った分の10個は良品に紛れ込んで、市場に出荷されてしまう。市場での不良率は10/90=11%にもなって、会社の評判はがた落ちになる。



 (B)と(C)、どちらも困る。だから検査の精度を、できるだけ(A)に近づけようと努力する。神様ではないのだから、完璧にはできない。例えば(D)のようになる。本物の不良が15個で偽不良が10個、併せて25個を不良品とみなして廃棄。良品として出荷した75個のうち、5個不良品が混じる。
 まだ面白くないが、すったもんだしても、やっていかなければ、飯の食いあげになる。
 ここから検査技術を磨いて、(A)の状態に近づけると同時に、不良発生を抑えていくのである。

                学問の勧め 松平春嶽

 いまの新型コロナウィルス検出のPCR検査は、(D)のようなものである。PCR検査では、偽不良品(偽陽性)はもっと少ないかもしれない。だが偽良品(偽陰性)はこの何倍もある。これでは検査の意味をなさない。

 つまりPCR検査は、単に陽性の人(不良品)を絞り込むための検査なのである。検査の欠陥を考慮せず、検査で感染の有無を判定できると勘違いするからおかしくなる。さらに、もともとウィルス検査は、いい加減なものと思ったほうがいい。なにしろ、人体に1000兆個も住みついているウィルスや細菌の中の、たった一つを見つけ出すのである。


 そしてじつは、検査にはものすごい落とし穴がある。
 ③へつづく 
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検査至上主義が破滅を招く①

 感染者の確定や安心ための検査なら、10億件やってもムダである

 ようやくマスコミなどで、新型コロナ感染の検査拡大を叫ばなくなった。一部の無能マスコミを除いて、PCR検査の弊害について理解が深まってきた。いまだに、検査!検査!と叫んでいる人たち(なぜかTBS系が多い)を見ると、つくづく「バカは死ななきゃ治らない」と思う

 WHO事務局長が「検査、検査、検査」と言い始めたのは、明らかに魂胆がある。
 すなわち、中国の検査キット権益がらみである。車検や健診など、むかしから検査には必ず利権がつきものである。日本の検査機関は天下りの巣窟となった。中国が検査で儲けるのは、まさにマッチポンプである。

 いま、世界中が検査拡大に走っているのは、とりあえず治療薬がない感染症に対し、検査でしか儲けられないからである。さらにつぎのワクチン利権も、マッチポンプ中国が狙っている(日本は医薬品開発には弱い。欧米や中国は、人種差別によっていくらでも治験者が得られるからだ)。

                天狗

 そもそも、日本の検査数は決して少なくない。おそらく韓国の100倍は行っている。毎日個人が自己診断しているし、病院へ行っても必ず問診する。レントゲンやCTスキャンもある。
 少ないのは、いい加減なPCR検査数だけである。

 それにこれまで、日本でPCR検査数が少なかったのは、感染者が少ないからである。日本の20倍も検査している韓国に比べても、PCR検査に対する陽性率は変わらない。日本は絞りに絞っても3%(対検査人数では5.5%)、地域によっては数百件検査しても陽性ゼロである。やりすぎ韓国も3%程度。ちなみにアメリカは10%。イタリアに至っては、陽性率20%もある。

 だから日本でも、これから感染者が増えれば、検査数も増える。どうせ全数できないのなら、統計学の確率論をもとに進めていけばいい。
 統計サンプルなら、無作為抽出で1000件あれば充分である。感染者を確定するため、あるいは安心のための検査なら、10億件やってもムダである(強欲者が毎晩床下の札束を数えるようなもの)。韓国でさえ累計で30万件しかない。
 日本は、お手本とされる台湾を見ながら、独自に進めていくべきである。
 
                親鸞

 このように、医療専門家でない私も、本ブログでウィルス検査の是非について、しつこく書いてきた。医療も、れっきとした「商品・サービス事業」経営の一部だからである。すべての事業の目的は、信頼できる商品・サービスを提供することに尽きる。
 その医療サービスの目的は何か。患者を増やさないこと、適切な治療を行うこと、最終的には死亡率を下げることである。
 「検査」は、その医療サービスの一手段に過ぎない。
 検査の目的と運用については、すべての商品・サービス、あるいは「ものづくり」も異なることはない。企業でもレベルの低いところほど、検査を重視する。

 いまやることは、医療体制を充実させること。防護服や人工呼吸器(日本は3000台?動けるのはその数分の一)の国内生産。検査の方法と精度を、大幅に改善することである。検査数が少なすぎるという邪悪な雑音に惑わされ、むやみにいまの検査数を増やすことでは絶対にない。



 もちろん検査の技術と運用は、組織の存続に大きく影響する。このことは、基本中の基本である。私自身が経営の現場で、直接ものづくりや管理にかかわり、そのことを実感してきた。

 次回②で、武漢ウィルスを離れ、ものづくりにおける検査について考えてみよう。

IOT化の闇

 商品に組み込んだ時限装置で消費者を操る、悪知恵に長けた人が大儲けする

 いま、動作を伴う商品はたいてい電子回路が組み込まれている。少し前からユビキタス社会到来といわれ、IT化やIOT化が身近で当たり前のようになった。10年前に買ったプリンター商品にも、その兆しがある。このことは、先日のプリンター異常騒動で改めて実感した。IT化が進むと、心臓部は完全にブラックボックス化される。

 むかし私が機械技術で生産設備を作っていたとき、制御部はほとんどリレー回路によるシーケンスであった。いくつかのBOXリレーを組み合わせ、機械動作を必要に応じコントロールする。複雑さは格段に違っても、現代の電子制御とで、根本のアルゴリズムの違いはないはずである。

                使用禁止

 リレー回路の場合は、制御盤にリレーBOXが整然と並んでいた。異常があったとき、配線図さえあれば、リレー部品や接点を特定することができる。その制御盤が、いまはコメ粒ほどのチップに収まっている。チップ内に集積回路としてすべて組み込んである。しかも機能や複雑さは比べ物にならない。その中身まで公表されることはない。

 その修理をする人も、チップ群ごと制御盤を入れ替えるか、せいぜいチップを交換するくらいである。簡単な回路でも、設計者によっていろんなやり方を行っているはず。だからよほどのプロでなければ、電子回路の中身まで特定できない。回路を修復できる人などめったにいない。

 これは非常に恐ろしい仕組みである。
 スノーデンが暴露したように、アメリカは日本のインフラ施設にマルチウェアを埋め込み、政殺与奪のカギを握っている。同じように現代の消費者は、商品に組み込まれた時限装置などで、メーカーの思うまま操られる。その悪知恵に長けた人が、大儲けするのである。

ものづくり補助金②

 自分でメンテナンスできない化石のようなシステムをつくらないことである

 ものづくり補助事業が採択された場合、その恩恵を享受するのはだれか。
 もちろんまずは、補助事業を計画して採択された企業である。1500万円の設備なら、1000万円(750万円)の補助金が出る。自己資金500万円(750万円)で、1500万円の機械が買える。

 つぎに直接お金が入るのは、補助金を払って購入する設備のメーカーである。面倒な申請書をつくったり、採択後にややこしい手続きをすることを考えたら、設備メーカーのほうが得かもしれない。
 まず、補助金制度がなければ売れなかった機械が売れる。
 さらに、見積通りの定価販売ができる。いったん価格が決まれば、しつこく値切られることがない。

 たとえば、補助金を活用して1500万円の設備を購入すれば、設備メーカーには、まるまるその金額が支払われる。普通なら1000万円くらいまで値切られるかもしれない。それが定価で売れるなら、メーカーや間に立つ商社は笑いが止まらない。

               タヌキの行列

 それより巨利が得られるのは、得体がわからず価格が明確でない商品である。
 典型的なのは、コンピュータソフトである。形がないので、客観的な価格が付けにくい。見積金額1500万円のソフトウェアのほんとの価格は、提供者の腹ひとつである。
 企業がこれらを補助金で活用するのは、よほど慎重さが求められる。

 たとえば数年前、ある企業の支援で、コミュニケーション・データ処理のための社内システムを計画し、補助金申請を行ったことがある。最初から完ぺきな計画はできない。もし採択されたら、その計画通りの内容と日程で、システムを構築しなければならない。使いこなすのに四苦八苦していたはずだ。それでなくとも、コンピュータシステムでうまくいった例は少ない。

 結果的に、補助金は採択されなかった。
 だがその後、計画を自力でブラッシュアップして改善を積み重ね、使い勝手のいいシステムを構築している。しかもコストは、当初見積もりの数分の一である。
 補助金を活用するより、はるかにコストパフォ-マンスがよくなった。

                タヌキの亡霊

 また、ものづくり補助金のミニ版で、「小規模企業持続化補助金」がある。購入費用の2/3で、最大50万円の補助がある。これを使って、高コストでホームページ(HP)を作る企業が多い。供給者にとっては、相場以上の価格で売れるのだから、これも笑いが止まらない。そのうえこれを利用した企業は、自分の金でないと思うから本気で運用しない。世の中に、化石のようなHPが、たくさんできてしまったのである。
 
 逆に言えば、これらの商品・サービスを提供している事業者は、この仕組みをうまく利用したい。
ほんとは内容をきちんと審査しないし、できないから問題なのである。

ものづくり補助金①

 社長が革新を自覚していなければ、ピント外れの提案~事業計画になってしまう

 今年も、ものづくり補助金の募集が始まった。購入設備代金の1/2、または2/3(小規模企業)、最高1000万円まで補助金が支給される。こんどは来年の2月まで、閉め切りが5段階に分かれており、申請企業にとって使い勝手がいい。

 私も何度か企業に対して、申請書作成の支援を行った。経営者へのヒアリングとアドバイスで、新事業の中身を、申請書という名の事業計画にまとめる。自分の専門分野でなくても、経営と技術の骨子は理解しなければならない。幅広い知識の習得が必要である。
 もちろん事業が採択され補助金が下りることが、大きな目的である。

                 体指を抱け

 だがそれ以上に重要なことがある。
 経営者の革新マインドを発揮させることである。どんな企業も生き延びていくためには、常に商品開発や生産性向上など、新しい取り組みを行っていかなければならない。ヒアリングや事業計画を策定するとき、経営者に強調するのはまさにそのことである。

 もとより多くの経営者は、何かしなければならないと思っている。ただ具体的に、何をしたらいいかわからない。そのレベルから経営マインドを目覚めさせ、さらに具体的な実効策を提案する。どんな企業にも、可能性はあるはず。それを引っ張り上げるのが、ベテランのコンサルタントである。

 それには、この補助金の申請が絶好のチャンスである。
 この制度は、「中小企業が取り組む革新的サービスや試作品の開発、生産プロセスの向上」を求めている。この機会に、企業自身の課題と経営資源を見直し、具体的な革新計画を立てる。そこから、業界の中で突出したものを見出す。
 これができなければ、ピント外れの提案~事業計画になってしまうのである。

ピンチはチャンス

 環境が変わったとき、いち早く人々のニーズを捉える企業が成功する

 新型コロナの影響で、ほとんどの企業は商売あがったりである。飲食店や小売店は、お客が来ない。宿泊施設は閑古鳥が鳴いている。スナックやナイトクラブなど、「濃厚接触」を求められる企業は、ハイリスクのお客に対し、ビクビクしながら商売を行っている。製造業は、原料や部品が入らず生産できない。できたとしても、売れるかどうかわからない。

 このままでは、リーマンショック以上に経済活動が鈍り、企業はバタバタつぶれる。
 政府は、無担保・無保証・無利子の融資を実行しているが、生真面目な経営者は借りようとしない。老い先短いのに借金を増やしたくないのである。

            抗菌マスク裏面     おかめありがとう


 このような沈滞した中で、気炎を上げている福井の中小企業がある。
 アパレルの縫製企業(㈱ファインモード)と和紙製造企業(㈱石川製紙)が連携し、抗菌マスクを開発して販売を始めたのである。年初来から、マスク不足が叫ばれているのに、国内では供給体制が整っていない。大量生産は無理でも、中小企業の特性を活かし、付加価値の高いマスクの製造を始めた。
 しかも洗って、繰り返し(使いようによっては何年も)つかえる。そこそこ汚れてきたら、ペットのおむつカバーに転用できる?
 もちろんマスクは、最高のファッション商品である。

 マスコミに取り上げられたことから、受注に生産が追い付いていない。
 単価1500円(税抜き)とやや高いが、コストを考えたら「良心的」な価格である。同じようなマスクは、ネットでは数倍で売られている。
 縫製工場でマスクを製造することは、だれもが考える。だが、実際にやる人はその1%もいない。その1%になるかどうかが、成功の分かれ目なのである。

             抗菌マスク表面    ファッションマスク

 もともとこの2社は、以前から独自の製品を開発してきた。すでに抗菌和紙は10年前にできていたし、このアパレル縫製会社もつぎつぎとオリジナル製品をつくっている。もちろん、いくらいい製品でも、簡単に売れるはずがない。だがその開発に向かう姿勢が、このような機会を捉えたのである。

 どんな世の中になっても、必ず人々が求める商品やサービスがある。とくに今回のような非常時には、必ず日常と異なるニーズが発生する。環境が変化したとき、そのニーズをうまく捕まえることができるかどうか。アイデアはいくらでも出てくるはず。それを活かせる企業だけが生き残っていく。

新たなクルーズ船ビジネス

 治外法権とし、麻薬、賭博、売春など、あらゆるものを解禁する

 新型コロナ肺炎騒動で、つぎつぎとイベントが中止や延期になっている。4月初めに、103日間世界一周の旅を強行しようとしていた、飛鳥Ⅱの企画も中止されたという。
 船旅強行は、クルーズ会社の大きな賭けであり、世間の批判は大きかった。

 私が経営者なら、どうするか。
 優柔不断だから、迷ったあげく決行した。
 キャンセルしたら、莫大な違約金を払い、会社がつぶれる。
 一方で、航行中に新型コロナが発生したらどうか。おそらく、もっと大きな損害が発生する。どうせつぶれる。
 それなら、旅行に出たほうがいい。一か八か航行を強行し、なにごともなければ利益がでる。感染症対策ノウハウも蓄積できる。経営はリスクである。

                破産か R1.6.27

 それでも、航行中に感染者がでたら?
 被害はあまりにも大きい。
 世の中からからつまはじきにされ、2度と世間に顔向けできない。
 いっそのことこの機会にひっそりと、飛鳥Ⅱを「竜宮城」にする。理想的な「姥捨て山」である。昔からそのニーズを感じていた。

 つまり船内を治外法権として、麻薬、賭博、売春など、あらゆるものを解禁する。美人の乙姫様とイケメンホスト(高齢者を整形修復する)が、ジジババを「濃厚接待」する。毎晩酒池肉林の乱痴気騒ぎをすれば、感染症の前に心臓病で亡くなる。そのため、船内施設として豪華な火葬場をつくっておく。

 残念ながら、いま船籍は日本だから、違法行為をすると警察が来る。
 腹案?がある。
 船内で感染発生の気配を察知したら、ただちに独立宣言し[飛鳥国]をつくる。乗員乗客とも65才以上に限定し、全員死ぬまで船を降りない。まさか船内で、子供が生まれることはないはずである。
 この年では、もう思い残すことはない。
 どうせ世界中、どこも寄港するところはない。横浜でひどい目に遭った日本政府も、突き放すであろう。最後まで残った一人が、南極の海で自爆する。

                円満仏

 もしかしたら、ダイヤモンド・プリンセス号の船長も、同じことを考えていたのではないか。だから船内で感染者がでたあと、どんちゃんパーティをやっていたのである。それならあの船は、寄港を拒否してあげればよかった。太平洋で最後の楽園になって、いまごろ乗客すべてが、天国で楽しく暮らしていたかもしれない。

大河ドラマ

 新商品がなかなか売れないのは、受け入れ態勢が消費者に整っていないからである

 今年のNKHの大河ドラマ「麒麟が来る」は、久しぶりの戦国ドラマである。ストーリーは無理筋であるが、まあ安心して見られる。歴史ものは、大筋の結果が分かっている。それをどう描くかを見ていたいのである。これまで歴代の大河ドラマは、時代ものと決まっており、やっと腑に落ちた気がする。

 一方、昨年の大河ドラマ「いだてん」はどうか。純粋ドラマとして観れば、むしろ「麒麟が来る」よりレベルが高いのではないか。役者の演技も申し分なかったし、適度なユーモアがありそれなり面白かった。
 それなのに、大河ドラマ最低の視聴率だったという。
 物語の展開が複雑すぎてついていけなかったのと、時代背景もこれまでの大河ドラマと大きく異なっていたからである。

                大河の武士

 すなわち「いだてん」は、見るほうの受け入れ態勢が不十分だったのである。
 和食の料亭で、フランス料理を食べるようなものである。料亭でフグの刺身と越前カニで大吟醸酒を味わうことを期待していたのに、カエルのムニエルとサメの卵、20年物のワインがお膳の上に出てきたらどうか。いくら高級フランス料理でも、あらかじめ和食の準備をしていたお腹には、入る隙間がない。
 飲食店で出す「創作料理」も、いかにも押し付けのようで、(私は)おいしいと思ったことがない。まるで闇鍋である。

 昨日のNHKスペシャル「美食」でも、その仮説を裏付ける実験を行っていた。
 「お品書き」の内容を変えて、2つのグループにまったく同じ料理を出したところ、美味しさの感じ方が全く異なったという。大した料理でなくても、いかにも香ばしいお品書きを見たグループは、ほとんどが美味しく食べていた。ネーミングが脳を刺激するからである。
 評判の飲食店や食品に、根強い人気があるのもそのためである(名物にはうまいものがないのに)。巷ではこれをブランド力という。

               最後の晩餐

 このことは、あらゆる商品・サービスに言える。
 新商品・サービスがなかなか売れないのは、やはり受け入れ態勢が消費者に整っていないからである。いくらいいものでも、突飛なものは時間がかかる。新商品は、それを買う人が「ほんとはそれが欲しかったのだ」と、頭で納得できるものでなければ、なかなか売れない。
 大企業が金に飽かして華々しい広告を打ち、その媒体であるTV局が大きな顔をしているのは、そのためである。

食品安全衛生管理

 HACCPといっても、8割がた5Sである。この機会に社内で取り組むようにしたい
         あらゆるウィルスや細菌と戦うには、食品事業者の行動がカギとなる


 食品衛生法の一部が改正され、原則としてすべての食品等事業者に、HACCPに沿った衛生管理の実施を求めることが決まっている。30年6月に法改正し、2年後に施行だから、あと1年半の猶予である。

 HACCPは、食品のリスクを管理するシステムである。事業者が食中毒菌汚染等の危害要因を把握し、原材料の入荷から製品出荷までの全工程の中で、危害要因を除去低減させるため、重要な工程を管理し安全性を確保する。システム認証規格としては、ISO9001をベースとした、ISO22000が制定されている。

               精進料理 中食 H28.10.09

 もちろん、すべての食品事業者がISO22000のシステムを構築する必要はないし、フルスペックのHACCP認証を受けるのは、きわめてハードルが高い。厚労省も、規模や業種等を考慮した一定の営業者については、取り扱う食品の特性等に応じた衛生管理にするといっている。

 厚労省は、簡易版のHACCPを公開している。とりあえずは、そのコピペでごまかせる。
 それでも、どうせ社内に取り入れるなら、有効にしたい。
 まず従業員に対し、HACCPを外圧として、押し付ける。幸いHACCPといっても、8割がたは整理整頓、すなわち5Sである。この機会に全員に5Sを意識付け、社内で取り組むようにしたい。
 新型コロナだけでなく、あらゆるウィルスや細菌と戦うには、食品事業者の行動が非常に重要である。

クルーズ船の行方

 高齢者が2度と下りないよう、乙姫様が濃厚接待する竜宮城をつくる

 横浜停泊中の大型クルーズ船(ダイヤモンド・プリンセス)に、新型肺炎患者が見つかったおかげで、日本政府は厄介な対応をしょい込んでしまった。一気にこれだけの人数をうまく処理できるかどうか。うまくいったら大したものである。
 下手を打ったとき、後付けで政府を責めるのは見苦しい。「トロッコ問題」は、誰も正解など持っていない。

 昨日のニュースでは、80歳以上の高齢者だけ下船させると言っていた。中途半端なのは仕方がない。もし一度に全員下船させたら、国民のヒステリーがヒートアップする。その塩梅を見ながら、処理していくのだと思う。もともと「水際作戦」は、時間をかけることで、パニックを防ぐためにやっているだけである。それ以外意味はない。
 
               宝永体育祭 女装H24.5.20

 それにしても、高齢者が3000人もいる横浜のクルーズ船で、死者のニュースがないのが不思議である。出発してから、もう1か月近くたつ。これだけ高齢者がいたら、ふつうでも毎月10人くらい亡くなる(統計上60歳以上の人は年間5%死ぬ)。
 よほど元気な人ばかりなのか。それとも、余計なパニックを起こさないため、ひた隠しにしているのか。下船させた人やさせる人は死期が近いからだと思う。

 それと今後のダイヤモンド・プリンセス号をどうするか。当分通常の営業運転はできない。もし持ち主が破産したら、太っ腹事業家ならこの船を買い取る。
 そこでどうするか。私企業では、病院船にするのは難しい。
 念願の、高齢者用治外法権の楽園にする。麻薬や売春、博打場など、法律すれすれの娯楽を開放する。鯛や鮃が舞い踊り、乙姫様が濃厚接待する竜宮城をつくるのである。あの手この手で、一度乗り込んだら2度と出れない極楽浄土にする。なんならいまの乗員すべて、全財産持ち込みの上で止めおく。私も死ぬまでに一度乗り込みたい。

プリンター故障

 消費者に対し廃棄の選択肢を強制するメーカーは、SDGsとは対極にある

 長年使っていたキャノンのインクジェットプリンター(MG6130)に、「インク吸収体が満杯に近づいています」という表示が出た。とりあえず「OK」ボタンで正常作動するが、いつストップするかわからない。一定回数で止まるように、プログラムされているはず。
 調べたら、『吸収体の交換と電子制御(回数限界)の変換が必要で、素人は修理できない』ため、業者に持ち込むよう書いてある。仕方がないので、重いプリンターを抱え、電気修理店を訪問した(ついでに壊れたノートパソコンを持参、引き取ってもらった。これは無料である)。

 ところが肝心のプリンターは、もう修理できないといわれた。メーカーの製造中止から5年以上経過したので、メーカーに交換部品がないという。

 おそらく修理できないのでなく、しないのである。吸収体交換なんか、(自分でも)カバーさえ外せばできるし、制御部はプログラム変更だけである。あるいはチップの一部さえ交換すればいいはずだ。
 もともと、インクで儲けるプリンターのビジネスモデルは、消費者をバカにしていると思っていた。インクの元値倍率は、覚せい剤並みである。今回その思いが増幅し、キヤノンに対するイメージはドン底になった。これでは、日本に修復ビジネス定着しない。

                くの一

 しかし、憤っていてもプリンターは使えない。
 新しいプリンターなら、1~2万円でそれなりのものが買える。
 問題はインクである。今までのカートリッジに合う販売機種がない。
 想定外だったのは、交換用インクをしこたま買い込んでいたことである。6色マルチパック(5800円ほど)とばらけたインク10本。取り換えたばかりの本体インクは満タンである。インクだけで2万円近い。これが不良在庫になる。

                ゴミ袋

 さてどうするか。
 ヤフーオークションを見たら、キヤノンMG6130が、5,000~10,000円で出品されている。多少安くても保証がなく、いまいち信頼性に欠ける。だがこれを無視するわけにはいかない。

 いま選択肢は2つしかない。
①最新のプリンターを20,000円で買って、古いインクをオークションに出す(10,000円?)
②不具合を覚悟して、オークションで古い同型プリンターを10,000円で買い、インクをそのまま使い続ける。

 はじめの、次の選択肢は難しくなった。
③10,000円で修理してそのまま使い続ける。

 3方ともに10,000円損である。本来なら断然③が望ましい。
 ①または②では、大きな廃棄プリンターが残る。そのうえ①はバカ高いインクが無駄になるし、②は再度の故障リスクも大きい。
 
 消費者に対し、①の選択肢を強制するプリンタメーカーは、SDGsとは対極にある。
 つぎつぎとOSを変更し、我々を混乱させるメーカーと、同じ穴に住みついたムジナの一味である。

SDGsビジネスセミナー

 成熟製品でも、デザインや販売方法を工夫すれば、いくらでもビジネスチャンスがある

 昨日、SDGsビジネスセミナーを聴講した(主催は福井県中小企業診断士協会)。
 SDGsとは、持続2001年に策定されたMDGs(ミレミアム開発目標)の後釜で、2015年の国連サミット「持続可能な開発のための2030アジェンダ」で提唱。2030年までに、持続可能でよりよい世界を目指す。貧困や飢餓をなくすなど、17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上で「誰一人取り残さない」ことを誓う。
 この理念の下でSDGsビジネスを展開中の、県内中小企業2社の事例発表である。


 まず建設コンサルタント山田技研(株)のJICA支援事業「北陸の冬期道路管理技術のモンゴルへの導入」。モンゴルウランバートルで、道路凍結防止剤の塩分濃度と路面温度を管理するシステムを構築しようとするものであった。
 当社はこれまでも、積雪センサーなど独自の機器を開発し、国内の公共事業に使用されていた。まだ調査段階であるが、このモンゴル事業が成功し採用されれば、自社開発した塩分濃度測定器などを、海外向けに販売でき、販路をグローバル拡大することができる。

 つぎに小浜の箸メーカー、スタイル・オブ・ジャパン㈱による、「福井県産間伐材による塗箸の開発・販売」の発表である。これは表題通り、福井の間伐材を使用して製品・販路の開発を行った。2018年の「地域産業資源事業」に認定されている。
 成熟業界の箸製品でも、デザインや販売方法を工夫すれば、いくらでもビジネスチャンスがあることを見せてくれた。世の中に箸は無くならない。

               中小企業施策 R1.9.07

 だがいずれの企業も、SDGsはいかにも後付けのような気がする。むしろ、SDGsを「大義名分」として、うまく利用したのではないか。利用できるものは何でも利用する。合理性が求められる企業経営に、欠かせない資質である。
 
 たとえば前者で、凍結防止に塩化ナトリウムを常時使うのは、環境配慮でやや疑問である。
 後者においては、日本の木材輸入量は、年間約5000万㎥もある(半分はパルプ・チップ)。日本で箸の生産量を年間1億膳とすれば、1膳20㎤としてせいぜい2000㎥。歩留まりを入れ4000㎥でも、輸入量全体の0.008%にしか過ぎない。当社の割合はさらに一桁下がる。

 ここで、年間250億膳も消費する割り箸なら、木材輸入量の2%にもなる。本物のSDGsならこれを何とかしたい。たとえば、使った後で燃焼させ熱源として利用する。そのための携帯コンロの開発。大量に使用する飲食店などでの活用法等である。
 じつはこれまで何度も試みられ、ことごとく失敗してきた。だからまた試みようとする者はいない。これこそビジネスチャンスである。

企業規模と生産性②

 中堅以上のメリットを小規模の企業が取り入れることは難しいが、逆は可能である

 前回取り上げたように、デービットアトキンソン氏は、「中小企業の生産性向上のためには、規模の拡大が必要である」と主張している。規模さえ拡大すればおのずと生産性は向上し、高賃金を払えるためさらに会社は大きくなるという。

 ただ、ものごとはそれほど簡単ではない。
 業種・業態、あるいは個別の事情によって、状況は大きく異なる。単に事業規模が大きければ、すんなり生産性が上がるとは限らない。かって私自身が在籍していた眼鏡業界においても、中堅規模の眼鏡枠事業者に比べ、スピンアウトした5~6人規模の方が生産性が高いことがあった。

 以下に示す小規模企業のメリットを享受したからである。
 小規模のメリット
①意思決定が容易
②分業ロスが少ない(多能工による業務ムラ削減)
③社内のコミュニケーションロスが少ない
④倒産しても影響が少ない(起業が容易)

 すなわち限られた期間、高付加価値分野に資源を集中するには、小さい企業のほうが適していることが多い。それにいくら大きな企業でも、無能な経営者に当たったら、かえってひどいことになる。

                親子狸

 それでも、小規模企業の限界はある。
 10人以下の会社が、以下に示したような中規模以上のメリットを、持続的に享受することは難しい。私が会社経営を続けられなかった大きな要因でもある。

 中堅規模以上のメリット
①限られた優秀な経営者を登用できる
②イノベーションができる
③輸出、税務、労務、法務、地域対応などの事務手続きの負荷に耐えられる
④多様な人材がいて、分業や応援体制を取りやすい
⑤企業間の取引頻度が少なくなる(営業や伝票、支払いなどの業務負担)
⑥美人社員が存在する確率が高く、それを目当てに「優秀な」人材が集まる

 これらに加え、先に示した小規模企業のメリットを、中規模以上の企業が取り入れることは十分可能である。限られた優秀な経営者なら、なおさらである。

               眼鏡枠

 具体的に鯖江の眼鏡業界が衰退したのも、小さい事業者が集まりすぎたからだという見方がある
 鯖江とイタリアの眼鏡産地ベッルーノの比較で、1992年は眼鏡出荷額(1200億円)と事業所数とも、ほぼ同じであった。その後いずれの産地も事業所数は減少していく。
 だが鯖江では出荷額も減少していくのに対し、逆にベッルーは出荷額が激増していった。1社あたりの規模が拡大したのである。2005年には鯖江とベッルーノの産地出荷額は、それぞれ700億円と2400億円にまで開く。一人あたりの出荷額(生産性)は、鯖江はこの15年同じであるが、ベッルーノでは1.3倍にまで向上している。現在はもっとその差が拡大している。イタリア(中国)では、ルクソティカをはじめ数千人規模の企業が成長している。

 これをみても、規模が大きい企業ほど有利な傾向がある。つまり、大きな企業の多い社会の生産性は向上していく。そうなると、日本でいちばん社長の多い福井、とくに鯖江の眼鏡業界はどうすればいいのか。
 正攻法なら、再編による規模拡大である。
 社長を辞めたくない、他に従属するのは嫌だというのなら、個別のゲリラ戦法しかない。自らに鞭打って、死ぬまで走り続けるのである。それも経営人生であり、個人的にはそのほうが魅力である。

企業規模と生産性①

 事業承継の支援では、身内への承継より合併を推進すべきである

 いま日本では、企業数の減少幅が加速している。1999年に485万者あった日本の企業数は、2016年には360万者まで26%も激減した。ほとんどが小規模事業者で、中堅企業の減少割合は10%程度である。ここ数年の減少割合が大きいのは、団塊世代の事業主が引退の時期に入ったからであろう。
 
 そこで政府は、事業の継続が困難な事業者に対し、あの手この手の支援策を施している。後継者の確定から、承継方法の計画、後継者教育、資産分割など、至れり尽くせりの承継計画を支援する。場合によっては補助金までつく。ほとんどは身内に対する承継で、親族と内部昇格合わせて90%にもなる。
 政府が事業承継に力を入れるのは、このまま企業数が減っていけば、各企業が有していた有形・無形の資産が消滅し、我が国の経済が沈滞すると考えているからである。

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 しかし、企業の減少は悪いことなのであろうか。企業数が26%減少したといっても、雇用者数は減っていない。むしろ増えている。
 なぜか。
 廃業・倒産で消滅した事業所の従業員を、他の事業所が吸収したからである。これはいい傾向なのではないか。つまり、事業所が減少するということは、1社あたりの従業者数が増えることになるからである。

 1月21日のフジTVプライムニュース(中小企業統廃合の是非)で、デービットアトキンソン氏は、「中小企業の生産性向上のためには、規模の拡大が必要である」と主張していた。たとえば、国に3000人の働き手がいる場合、1000人規模の会社3つの国と2人の会社が1500社ある国とでは、前者のほうが生産性の高いことは容易に想像される。
 日本の大企業と小規模企業の違いを見ても歴然としている。

 現にOECD各国で比較した場合、小企業の従業員数の多い国は生産性の低いことが、90%相関していたという。たとえば20人以下企業の従業者数は、ギリシァでは40%なのに対し、アメリカでは10%しかいない。

 なぜなら、2~3人の企業ではイノベーションが難しいし、海外取引も困難である。税金計算や各種届出、金融、近隣対応など、直接営業以外の負担割合も大きい。さらに、頭数だけの玉石混合経営者より、限られた有能な経営者が大人数を管理したほうが有利に決まっている。そもそも経営の負担は、10人の会社も1000人の会社もそれほど変わらない。

                ゾンビ

 したがって、日本でいま企業数が減少しているのは、悪いことではない。むしろ企業規模拡大が進むことにより、日本経済が構造転換する。千載一遇の大きなチャンスである。すなわち政策としての事業承継支援では、積極的に吸収合併を推進していくべきである。無理やり身内に事業を継がせる必要性はまったくない。
 チマチマと接ぎ木だけして森を見なかったら、またこれまでのように、ピント外れの支援策になってしまう。

                 タヌキの亡霊

 さはさりながら、ものごとはそれほど単純ではない。
 企業規模と生産性の関係については、また別途述べる。

ウィンドウズ10

 我々はいつまでも、アメリカの手の上で悪魔のダンスを踊っていなければならない

 先日ようやく、ウィンドウズ7パソコンのひとつを、10搭載機種に入れ替えた。OSのサポート終了といわれつづけ、まだ使えるので踏ん切りつかず、ここまでずるずるきてしまった。しかも最新の国産パソコンは、注文が殺到し、NECや東芝など人気製品は、納期が2~3か月かかるという。

 旧パソコンで間に合うと言っても、動きが遅くイライラしながら使っていた。やたらと立ち上がりの時間がかかるし、画面の切り替えも重い。潮時であったかもしれない。たしかに新しく買った最新?のパソコンは、動きが早い。旧型で1分以上かかっていた立ち上げが、10秒くらいになった。

                食虫植物 R1.12.12

 だがその高速スピードも、いつまでもつか。
 いやらしいのは、ネットサポート更新するたび、重くなってしまうことである。そのため、一定期間たつとどうしても高性能の機種が必要になる。いいものを長く使いたい人にとって、悪魔のサイクルである。

 そもそもOSの切り替え、頻繁なネットの更新サポートは、必要なのであろうか。新しい製品を買わせるため、わざと使いにくくしているとしか思えない。もともと機能は必要以上にある。むしろ更新するたび、なにかしら障害が起こる。自動車車検と同じでムダに消費させる。合法的詐欺行為である。

 8年前、XPから7に代えたときも、操作方法の違いに戸惑った。さらに年取って、頭の回転が悪くなった。しばらく悪戦苦闘しなければならない。とても生産性向上どころではない。
 我々はいつまで、アメリカの手のひらの上で、悪魔のダンスを踊っていなければならないのであろうか。

逆転経営

 番組にするなら専門的内容にまで入り、管理や固有技術に絡めたストーリーが欲しい

 1月13日のNHK「逆転人生」は、「注目の着ぐるみ工場“社員の輝き”で大躍進」と題して、キャラクター製造会社の女性経営者を特集していた。社長はかってシングルマザーとして、仕事と家庭の両立に苦しんでいた。その体験をもとに、残業三昧の職場を改革した。職場のコミュニュケーションを重視、さらに労働時間を減らすことで生産性をあげ、社員の創造力を引き上げていったという。

 その結果、事業は順調で海外からの受注も増えた。“女性を輝かせる職場”として国から表彰されたこともある。中小企業における、ワークライフバランスの取り組みとして、注目されている。
 中小企業経営モデルケースの一つである。

               タヌキの勢揃い

 しかし工場経営は、そんな簡単にいくものなのであろうか。番組では、かなりポイントとなる事柄を省いていたように思う。
 いくつか疑問がある。

 まず、急激に仕事が増えたため、いきなり20人もの社員を雇用したことである。それまでは夫と2人だけの会社である。製品のコンセプトやつくり方など、まだ試行錯誤している段階であった。しかも採用者は、近所の主婦でまったくの素人である。
 これではうまくいくはずがない。
 大量採用の段階で、工場内の配置や役割分担、生産計画はどうなっていたのか。
 従業員個人にいくら潜在能力があっても、いきなりの増員で混乱は避けられない。おそらく当座はなにをしていいのかわからず、右往左往。手直しやつくり直しの連続で目も当てられない状態だったと推察する。

 家庭の主婦が、日常的に残業することを前提としたのもおかしい。生産計画すら、できていなかったと思われる。正確でなくとも計画さえ立てられれば、ほぼ納期がつかめる。お客に迷惑をかけることはないし、無理に残業しなくてもいいはずである。
 退職者が相次ぎ、混乱に拍車をかけていたことは、容易に想像できる。コミュニュケーショどころではない。


 ただいくら混乱していても、1年すればそれなり習熟する。生産のやり方も固まってくる。社員一人ひとりとの会話ができたのは、工場内がすこし落ち着いてからであろう。現場が混乱したままではキャンセルも相次ぎ、会話どころではない。
 もちろん、社員とのコミュニュケーションは重要である。
 だがそれ以前に、最低限の管理のしくみを作っておくことが、必要だったのではないか。

 幸運もあったはずである。
 ブームが過熱して競争相手が乱立する前に、分業体制での製造方法を確立できたこと。個別・単品生産だけに、ある程度以上の価格で売れる。決まった値段がないだけに、価格交渉が重要である。ほんとのノウハウは、このあたりにあったのかもしれない。

               さばえものづくり2018 H30.10.27


 せっかくものづくり企業が、独自製品を開発し、生産性を向上させていったモデルケースである。ここは経営のプロがしっかりと、最初の問題点と改善に至った要因を、理論的に分析し、わかりやすく説明して欲しかった。成功因子は、社員とのコミュニュケーションだけではないはずである。
            

 いまの朝ドラ(スカーレット)にいまいち人気がないのも、あまりに人間関係ばかり重視しすぎているからではないかと思う。ドラマと言えど、もっと専門的内容まで入り込んで、管理や固有技術に絡めたストーリーが欲しい。
 事業成功をドラマにするなら、せめて、まんぷくラーメン開発物語くらいの、技術や経営ノウハウを描いた方が現実性があって興味がわく。(個人差はあるが)ドロドロした人間関係ばかりでは嫌気がさす。青臭くて、とてもドラマや番組に入り込めない。

大掃除と整理整頓

 捨てることは「善」であるという意識を「MOTTAINAI」文化の日本で定着させるのは難しい

 今日は、仕事部屋の大掃除と工具類の整理整頓をした。余計なものがたくさんあるので、まったくはかどらない。この1~2年、「終活」のつもりでずいぶん捨てたつもりなのに、またわけのわからないものが、大量に溜まってきた。
 
 ものづくりに限らず、業務効率化の基本は、整理整頓である。モノや情報、時間、方法を有効活用する。そんなことわかっているはずなのに、きちんと整理・整頓ができている人や組織はほとんどない。人に説教する私自身すら、例外ではない。

 なぜできないか。そのことについて、本ブログで書いたことがある。つまり、整理整頓ができないのは、エントロピーの法則、「秩序あるものは必ず乱れる」という自然界の法則が働いているからである。
 じつはそれだけではない。
 自然界の法則に加え、心理的な制約もある。

                説教

 整理整頓するためには、まず「整理」できなければならない。それが難しいのである。
 なぜ、整理(捨てること)ができないのか。
 人は、「損失回避バイアス」を持っているからである。つまり利得の喜びより損失の痛みの方を感じやすい。たとえば、「コイン投げで、表なら1500円貰えるが、裏なら1000円払う」場合は、ほとんどの人は参加しない。

 すなわち「整理」すればなにかを失う。なにかしら痛みを感じる。ムダが減って利益をもたらすとわかっていても、最初に「損失回避バイアス」が作用してしまう。損失の痛みは確実に発生するが、最終的に利益をもたらすかどうかはわからない。だから「整理」するには、きわめて勇気が必要である。

                ポイ捨て禁止

 では、思い切った「整理」ができるためには、どうしたらいいか。
 「損失回避バイアス」において、たとえば先のコイン投げで貰える金額が2倍以上になると参加者が増える。宝くじのように、何十倍にもなるならもっと多くの人が参加する。つまり、「整理」のリターンの大きさを、きちんと認識すればいいのである。なにかを得るためには、まずなにかを失わなければならない。難しいところではある。

 もっとも、損失回避だけではない。捨てることは「善」であるという意識を、「MOTTAINAI」文化の日本で定着させるのは難しい。今日の大掃除では、30本あまりのドライバーが出てきた。もちろん、半分もいらない。これを直ちに捨てられるか?
 「整理・整頓」は、人類永遠のせめぎ合いである。

プロトン冷凍技術

あらゆるものが冷凍保存されるようになると、まちがいなく電気の使用量は増大する
 
 最近の冷凍技術の進化は目覚ましい。つい間近は新しい発想の、プロトン冷凍技術が実用化されている。おせち料理など、あらゆる食材を新鮮なまま凍結できる。冷凍でもほとんど味が変わらない状態で、長期間保存できる。
 何が違うのか。

 むかしの通常冷凍は、食品中の水分がゆっくり凍るため、結晶となって体積が膨らみ、細胞を破壊してしまう。解凍したとき水分が流れ出るなど、冷凍以前の組織を維持することができなかった。
 そこでつぎに急速冷凍技術が出てきた。流体を対象物に当てることで急速に冷やす。その当て方や、流体の工夫で性能の差別化をはかっていた。とくに低温液体は高い熱伝導率を持つため、急速冷凍効果が大きい。いずれも、細胞内の水分すべてが凍る前に部分氷結させ、細胞の破壊を防ぐ技術であった。
 ただこの方法だと、対象物の表層しか急速冷凍できない。そのため、ブロック状の肉や大きな魚などは、冷凍用に加工するなどの工夫が必要であった。

               水素結合

 そこで実用化されたのが、冒頭に挙げたプロトン冷凍という、まったく新しい原理の冷凍技術である。
 これはプロトン、つまり原子レベルでの磁力作用を活用する。
 図のように、水は水素原子2個と酸素原子の共有結合である水分子どうしが、ゆるやかに水素結合している。水素結合はゆるいので、液体では上下左右バラバラに動き回っている。零度近くになると、動きが遅くなり水素結合がはじまる。そこで、水分子のマイナス側(O)とプラス側(H)がつながっていく。これが氷の6角結晶で、すきまができ体積が増える。
 
 プロトン冷凍は、この原子結合状態に着目した。
 すなわち、冷凍対象物に磁力線を当て、水分子のマイナス側(H)とプラス側(O)を矯正することで、水素結合をなくし分子が結晶することを防ぐ。氷になっても6角結晶しないので、体積はそのままである。

 まさにコロンブスの卵である。水の分子レベルでの挙動や性質を知っている人なら、思いついても不思議ではない。
 そのおかげで、まったく次元の異なる冷凍技術を開発することができた。

                飛躍

 この技術はいつ開発されたのであろうか。
 過去の特許文献を検索したら、平成11年に「特開2000-325062」が出ていた。どうもこれが最初らしい。もちろんその後も各社から、改良特許が出ている。20年前のアイデアが改善を重ね、ようやく実用化されたのである。

 冷凍技術が進んでいくと、食材の廃棄は少なくなる。だが、あらゆるものが冷凍保存されるようになると、まちがいなく電気の使用量は増大する。
 最近開発された、レーザー照射で鉄骨の錆をとる技術も膨大な電力が必要である。世界人類100億人に無駄なく食料をいきわたらせ、インフラを維持していくためには、ますます高密度なエネルギーが不可欠となる。

日本の法制度

 複雑な法規制のため起業者は2の足を踏んでしまう。日本が停滞する大きな要因である

 消費増税がはじまり、3か月経過した。増税だけで重圧なのに、軽減税率が取り込まれたことで、混乱に拍車がかかる。厳密に適用すると、とんでもない負担が発生する。ただでさえ、複雑な税制がいっそうややこしくなった。
 こんなつまらないことに、頭脳明晰な会計士が振り回されるから、優秀な人材が枯渇するのである。

 もちろん企業を経営するなかで、ややこしい法律はこれだけではない。
 働き方改革で複雑になった労働関連法案がある。労働基準法も大幅改定になった。労基法も税法に負けず劣らず複雑な法律である。労働者の賃金や労働時間をからめたややこしい規定を、まともにクリアしている中小事業者はどれだけいるのか。パワハラ・セクハラの定義もわかりにくい。事業承継に係る法律も、いろんな分野の専門家が束になってかからなければ、高額な税金で首が回らなくなる。

 税法や労働法は、まだ生易しいかもしれない。厳しいのは、業界特有の法律である。医療や介護、建設、環境など厳しい規制や資格の山を乗り越えなければ、事業そのものができない。農林漁業などのように、業界特有の利権もある。

               働き?アリ

 いまの法律はあまりにも複雑すぎる。いろんな解釈の余地があるから、すべての法律を100%遵守している企業は皆無である。叩いて埃の出ない企業はない。また新しいことをやろうとすると、必ず何らかの法律に引っかかる。

 法律を作る人は、企業の弱みを握れば、天下りに有利である。そのため官僚は、誰も理解できないような法律をつくる。世の中、どんどん複雑になって身動きが取れなくなる。これでは生産性が上がるはずがない。もちろん、新しく従業員を雇って事業を起こそうとする人は、確実に2の足を踏む。これで日本が停滞する。

レインボーラインの経営

 レインボーライン山頂公園には、至る所にしゃれたテラスができつつあった

 一昨日、診断士協会企画で敦賀~美浜への視察旅行を行った。先月末に参加した、関電の美浜原電見学ツァーとほぼ同じコースである。ただ、佐久間艇長記念館、美浜町健康楽膳施設「こるぱ」、美浜町エネルギー環境体育館「きいぱす」は、今回が初めての訪問であった(もっともこの3施設は知名度が低く、閑古鳥が鳴いていた。もしかしたらわれわれは、今年、最初で最後の訪問者だったのかもしれない)。

 また、前回訪問した年縞博物館、レインボーライン山頂公園、美浜原電は、説明する人が異なったり、前回はなかった講釈がつくなど新しい発見があった。最後の宴会も「ふぐ」こそなかったが、全員、記憶が無くなるほど飲んだ。飲み放題はきつい。

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 とくに、レインボーライン山頂公園では、当地を運営する㈱レインボーライン社長の石田氏に、会社の経営状況の説明に加え、いま整備中の施設を案内してもらうことができた。

 1991年度(28年前)に、来場者数104万人で売上高4.5億円だった当社の経営は、石田氏が社長に就任した2017年度(2年前)には、来場者数28万人で売上高1.5億円に激減している。そこで社長は、28年前から現在に至るまでの、細かな財務内容、リニュ-アル投資、施設の内容、周辺の観光施設、外部環境などを詳細に調査し、一覧票にまとめた。それを惜しげもなくわれわれに見せてくれた。ここまで調査分析しようとすれば、外部コンサルタントなら数百万かかる。

 この分析結果をもとに、石田社長は再生計画を策定し、現在その計画を実施中である。その基本コンセプトは、「三方五胡に浮かぶ天空のテラス」とした。有名だった「恋人の聖地」、「カブト虫館」なども、コンセプトに合わないものは思い切って撤去した。クールジャパンにも認定され、年間売上高の2倍もの3億円の予算で、公園を整備している(もっとも8割は、国や県の補助金)。

              山頂足湯テラス R1.12.07

 石田氏は長年リゾート開発を手掛けており、テラスには思い入れがある。国内外の有名なテラスを研究し、これまでもテラスを造ることで集客に成功してきたという。その山頂公園には、至る所にしゃれたテラスができつつあった。そこからは、若狭湾と五胡だけでなく、遠く白山連峰や荒島岳まで望める。

 来年3月に施設が完成すれば、リニューアルした観光スポットとして注目を浴びるに違いない。その後は、どこまで長続きさせるかが問われる。